続・幼なじみの不器用な愛し方

これから。

日付が変わるタイミングを見計らって有斗が婚姻届を窓口に出した、10月8日の正午。

人気俳優・神崎有斗の公式ホームページとSNSで、結婚、及び第一子誕生予定であることが直筆のメッセージで発表された。




『…………はい?』


かなりの間を置いてから、電話の向こうで素っ頓狂な声がした。

起こしたベッドの背もたれに体重を預けながら、わたしは思わず苦笑する。


「やっぱりそういう反応になるよね」


電話の向こうにいるのは宮水と大橋先生で、2人分の息を呑む気配が伝わってきた。


そりゃそうだ。

先月、色々あって関東に戻ることになった、と伝えた時も驚いていたのに……今日のトップニュースである神崎有斗の結婚の相手が自分だなんて言い始めたんだから。


「とんでもない妄想を口にしてるって思われるかもしれないけど……一応、ほんとなんだよね。だから、ずっと相手について言えなかったの。ごめんね」


妊娠がわかった時も、わかってからも、わたしの味方でいてくれた2人に、わたしは大きな隠し事をしていた。

仕方のないことだと思いつつも申し訳なさもあって、電話越しに頭を下げた。

と、


『いやぁ、めちゃくちゃびっくりだけど、全部辻褄が合うねぇ』


スピーカーにしている向こうの電話口で、大橋先生の力の抜けたような声がした。
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