続・幼なじみの不器用な愛し方
『車運転して行ってるわけじゃねーし、大した負担じゃねーよ。どれだけとんぼ返りになっても、会えねー方が嫌だからな』


さらりと言ってのける有斗に、わたしは心から感謝する。

有斗の真っ直ぐな姿勢は、昔も今も変わらず、心強く感じるんだ。




残りの入院生活も順調だった。

しかし、退院を前日に控えた27日。


「……え?」


35週と6日。

破水しました。




「──美月!」


勢いよくスライドドアが開き、慌ただしく病室に駆け込んできた有斗を、わたしはベッドの上で出迎えた。


「びっくりしたー。思ったより早かったね」


息を切らせた有斗の髪は乱れていて、なんならリュックの肩紐も片方ずれている。

わたしの姿を見るなり、彼はほっと息をついたように表情を緩めてから──


「間に合わなかった……ッ!」


病室の入口で、漫画のような勢いで肩を落とした。

扉は開け放たれたまま、廊下を歩くお見舞い客らしき家族が何事かとこちらの様子を覗き込んでいる。


「ちょ……そこ閉めて」


ただでさえ目立つのに、大きい声は廊下に響き渡ったことだろう。

言うと、有斗はよろよろと扉を閉めてからベッドに歩み寄ってきた。

わたしを見下ろし、きゅっと引き結んでから口が開かれる。
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