続・幼なじみの不器用な愛し方
「まじで……お疲れさま。ありがとう」


少し強張った表情を見て、わたしの胸は愛おしさでいっぱいになった。

思わず笑みが溢れて、わたしは敢えて戯けて言う。


「ほーんと疲れた! いきなりだったし、陣痛も出産も、想像の何倍も痛くてびっくりしちゃったよー」


まめちゃんの誕生に、有斗は立ち会わなかった。

もちろん有斗にはすぐ連絡を入れたし、すぐに来ようとしてくれたんだけど、わたしが止めたんだ。

あまりに突然だったし、今日の午前中に収録があることを知っていた。

たくさんの出演者やスタッフさんに迷惑をかけるくらいなら、きちんと仕事を終わらせてから来てほしかったから。


収録を終えてから来たって出産には間に合うかもしれないし! とわたしが言葉を並べ立てると、有斗は何か言いたげな様子を見せた後にとっても考えてから、最終的にはわたしの意見を飲んでくれた。


けど、陣痛に耐えている間、後悔したりもした。

昨日の夜遅い時間に両親が新幹線で駆けつけ、ずっと傍にいてくれたけど、有斗がいないことが心細くてしょうがなくて、痛みと闘いながらぼろぼろ泣いた。


有斗の奥さんであるということと、芸能人の奥さんであるということは、これからも色んな局面でわたしを揺らすのだと思う。

けれど、それでいいんだ。それがいいんだ。

それが、有斗と一緒にいるということだから。


心からそう思えるようになるまで、時間がかかってしまったけれど。
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