続・幼なじみの不器用な愛し方
有斗の涙が、顎を伝って滴り落ちる。

その雫は、まめちゃんの──朝陽を包むおくるみに溢れて、じわりと染み込んでいった。


「あさひ。──神崎朝陽。うん……すっごく、いい名前」


涙でぐちゃぐちゃになる視界に、なんとか2人の姿を収める。

ひとときも見逃したりしたくなくて。

朝陽を連れてきてくれた助産師さんの姿はいつの間にか見えなくなっていた。


「俺の人生の幸運は……中学生の時に事務所の人にスカウトされたことでも、トイボのMVに出させてもらったことでも、ドラマに抜擢されたことでもなくて。

ただ、美月の傍で生きてこられたことが幸せだった。希望だった。これ以上の幸せなんてないと思ってた」

「……っうん」

「でも……違った。幸せって、最大値が更新されていくものなんだな」


慈しみに溢れた眼差しで朝陽を見つめてから、わたしに視線が移される。

涙に濡れたその目は、スクリーンの中で見るそれよりも輝いて見えた。


「俺に、たくさんの幸せをくれてありがとう。朝陽を、宝物をくれてありがとう」


頬を濡らした有斗が、惜しみない笑顔を弾けさせる。

そんなの……こっちの台詞だよ。


昔から、有斗がわたしを好きでいてくれたから。

不器用にわたしを愛していてくれたから。
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