続・幼なじみの不器用な愛し方
石田さんとの話をしたら拗ねちゃうかなーなんて思いながら見慣れた街並みを歩き、マンションに帰り着いた。

セキュリティを通過して、静けさの広がる通路を抜ける。

エレベーターに乗って5階まで移動し、また長い廊下を歩くと自宅の扉が見えてくる。


「ただいまー」


玄関の扉を開き、玄関で靴を脱いでいると──


「おかえりママーーー!!!」

「かーりー!!」


廊下の向こうから、慌ただしい足音が2つ近付いてきた。

顔を上げるととびきりの笑顔が目に飛び込んできて、わたしの足に絡みついた。


「ただいま、朝陽、凪彩(なぎさ)。お留守番ありがとー!」


腰を屈めて手を広げ、5歳になった朝陽ともうすぐ2歳になる娘・凪彩を抱き締める。

きゃあきゃあはしゃぐ2人を追いかけるように、廊下の向こうからもう一つの足音がやってきた。


「おかえり、美月。体調、大丈夫だったか?」

「ただいま。安定期になってからは随分落ち着いてるし、平気だよ」


2人を抱き締めたまま、メガネ姿の有斗に向かってピースサインを向ける。

第三子の妊娠が判明したのは、4ヶ月ほど前のことだ。

東京でサイン会がある度にうちに顔を出してくれる石田さんが今回は遠慮したのは、少し前までわたしが悪阻に苦しめられていたからだった。


「ママ、ゆいちゃんと、ともくんにあったんでしょ!」

「えっ、なんで知ってるの?」
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