続・幼なじみの不器用な愛し方
振り返ると、洋風の外観の一軒家が2軒、並んで建っている。

わたしの家と、有斗の家。

真向かいではなく少し斜めに向かい合うベランダ越しに、昔はいつだって会えたのに。


有斗の両親の顔が浮かんで、わたしはぐっと唇を噛み締めた。

お隣さんの垣根を超えて、わたしのことを可愛がってくれた2人。

孫の存在を知らせないような、最低な女でごめんなさい……。


涙が溢れそうになるのを堪え、わたしは春の陽気の中を歩き始めた。




道中、駅前のケータイショップに寄った。

既存のスマホを解約し、新しい番号を取得する。

まっさらなその端末を手に、わたしは京都へ向かう新幹線に乗り込んだ。


行き先として京都を選んだのは、知り合いに会う恐れのない場所とか有斗に見つからないところとか、そういう気持ちもあったけど、一番はわたしの思い出の場所だからだ。

高校の卒業祝いと称し、有斗が連れて行ってくれたのが京都だった。


有名な神社仏閣を巡り、立ち並ぶお店で食べ歩きをし、くだらないことで笑い合った。
< 76 / 134 >

この作品をシェア

pagetop