続・幼なじみの不器用な愛し方
親不孝な娘でごめんなさいという言葉は、声にならなかった。




大型連休ムードの中、5月1日は平日だった。

仕事人間の両親は、様子のおかしいわたしを気にして朝から有給を申請する勢いだったけど、背中を押して無理やり送り出した。

大丈夫だから、となるべく笑顔で。


1人になった家で、わたしはクローゼットの奥に仕舞い込んでいたキャリーバッグを引っ張り出した。

一昨年、結子と2人で韓国旅行に行ったときに買ったものだ。

服、下着、スキンケア用品……。その中に、必要なものをどんどん詰めていく。


海外用で大きいとはいえ、キャリーバッグ1つでは入り切らないと思っていた荷物は、案外余裕を残して収まった。

本当に必要なものは、実のところあんまり多くないのだと初めて知った。


少しだけ考え、大きなトートバッグにいくつかの荷物を移動させてから、空いたスペースにクラゲのぬいぐるみを入れた。

未練がましいかとも思ったけど、それ以上に、お守りとして持っていきたいと思ったんだ。


[落ち着いたら、必ず連絡する。だから、心配しないで]


出来る限り丁寧に書いたメモをダイニングテーブルに残し、大きな荷物を抱えて家を出た。
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