仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 「恭弥も一緒に紅茶でもどう?」
 「勉強があるから」


 一瞬の間のあと断り、リビングのドアを閉めた彼だったが、すぐにまた顔を覗かせる。


 「兄貴、おめでとう」


 小さい声ながらもはっきりとした口調だった。
 そのひと言に、修吾がふっと目を細める。


 「ありがとう」


 短く返した声は、どこか嬉しそうだ。
 誌史も思わず微笑む。恭弥の言葉は飾り気がなくて、真っ白な紙に書かれた一行のようにまっすぐだった。
 それだけで、この家の空気が少しあたたかくなった気がする。

 ドアの向こうで足音が遠ざかっていく。誌史は心の中でそっと〝ありがとう〟と呟いた。
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