仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
修吾の家族への挨拶を済ませ、誌史は再び彼の車に乗り込んだ。
「疲れただろう」
「最初は緊張して疲れましたけど、とっても素敵なご家族ですね」
「そう言ってもらえて嬉しいよ。俺も久しぶりに家族とちゃんと話せてよかった」
修吾はハンドルに手をかけながら、ふっと笑った。
「父さん、あんなに穏やかに話す人だったっけな。なんか、前よりやわらかくなった気がする」
「そうなんですか?」
「昔はもっと厳しかった。俺が子どもの頃は、あんなふうに笑うのあまり見なかったな」
誌史は助手席でシートベルトを締めながら、さっきの達彦の表情を思い出していた。
たしかに言葉数は少なかったけれど、そのひと言ひと言に温かさがあった。
「お母様の影響かもしれませんね」
「そうかもな。あの人が来てから家の空気が変わったんだ。俺も最初は戸惑ったけど、今は感謝してる」
車がゆっくりと住宅街を抜け、広い通りに出る。
午後の陽射しがフロントガラスを通して差し込み、誌史の膝の上に光の模様を描いた。