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第二章／ときにはSPICE

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高校生の時だったか、口さがない同級生が明日美を「一昔前の少女漫画のヒロインみたい」と評したものだ。
褒めているようで “一昔前の” という余計な一言がついているが、言い得て妙である。

丸顔で瞳も丸い。ちんまりした鼻と口。
細い首、はまあ自分でも気に入っているパーツだ。
髪はゆるくうねるタイプのようは癖毛だが、細くてコシがない髪質なので、パーマをかけているように見えないこともない。
ちなみにストレートパーマをかけてみたこともあるが、結果はひどいものだった。髪がひたすらぺたんこになり、頭に海苔を貼りつけたごとしで、なんとかボリュームを出そうと毎朝必死でブローしながら、二度とやるまいと誓った。

今は長めの前髪を顔のまわりで遊ばせて、ヘアスタイルはその日の気分でアップにしたり結んだり、ワックスでまとまりを出しておろしたりと。自分の髪の扱いはだいぶうまくなった。

メンズライクなアイテムを身につけ、タイトなヘアスタイルが似合うキリッとした女性に憧れるものの。
いっこうに理想に近づけないまま、今年で２７歳になる。
なにせ一昔前の少女漫画顔だ。