I 編む
一人で食べても美味しさに変わりはないけれど、誰かと食べたほうがもっとたくさんの味と香りが楽しめる。
陽太さんと梢さんはカレーは好きだろうか。

視覚や聴覚に左右されない食事は、二人とも生活の中で大きなウェイトを占めているようだった。
陽太さんは食べ歩きが趣味の一つだと話していたし、梢さんはお取り寄せグルメを楽しんでいると聞いたことがある。

この店なら感覚が鋭敏な二人でも気に入りそうだ。
夜食事をする機会があったら提案してみようと、明日美は決めた。

たとえばD &I推進チームで懇親会…沖口課長は来ないだろうけど、いつも通り三人でしゃべっていればいい。
ひょっとして声をかけたら、二階堂聡も参加するかもしれない。
もし実現したら、ずいぶん毛色の変わった食事会になりそうだ。

想像して、明日美は一人微笑んだ。
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