転生幼魔女は生き延びたい!~唯一無二の力はナイショだよ〜
『アナタ、クズ男なんて言葉、一体どこで覚えてきたんですの?』

「おばあちゃん、いってた。ぼうりょくオトコ、うわきオトコ。かくしご、つくるオトコ。こういう、くじゅオトコにはきをつけなさい、って」

『ま、まぁ、それは真理ではあるけれど……でも、親を悪く言うものじゃありませんわよ』

 確かに、いくらクリスティーヌが可哀想だと思ったとはいえ、実の父親にクズ男と言うべきではなかったかもしれない。
 セレスティアは素直に反省した。

「あい、ごめんなしゃい……」

『でもまぁ、アナタの気持ちも分からなくはありませんわ。いくら政略結婚だからって、あそこまで突き放さなくてもいいのにとは、アタクシも思いますもの』

「だよね! もっと、いいかた、あるとおもう。くりすちーぬさま、おびえてた。かわいそう……。ハッ、もしかして……おとうしゃまが、こわいから、おそとでない? 『めいわく』って、そういうこと?」

『その可能性は高いでしょうね。自由に過ごしていいとは言われても、あの気弱なクリスティーヌのことですもの。恐ろしくて気楽になんか振る舞えないでしょうからね。……はぁ、このままだと離婚まっしぐらですわねぇ』

「そっか、リコンかぁ…………ん? リコン?」

 一度は聞き流したものの、一拍置いて無視できない単語に気が付いた。

「おとうしゃまと、くりすちーぬさま、おわかれ、しちゃう?」

『遅かれ早かれ、そうなるでしょうね。アタクシも既婚者だからよく分かりますけど、夫婦を続けていくには互いの努力と忍耐、そして思いやりが必要ですの。いくら政略結婚だと割り切っていても、情のない関係はいつか破綻するものですわよ』

「そんな……リコンしたら、くりすちーぬさまと……あえなく、なる?」

 残念ながらとマリアベルが答えた瞬間、セレスティアは目の前が真っ暗になった。

 たとえ血の繋がりがなくとも、セレスティアにとってクリスティーヌは初めてできた〝母親〟だ。

 優しく頭を撫でてくれる手のぬくもり。
 注がれる陽だまりのような柔らかな眼差し。

 抱き締められた時の、あの胸がきゅっとするような嬉しい気持ち。

 知らなかった頃には、もう戻れない。


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