【完結】転生幼魔女は生き延びたい!~唯一無二の力はナイショだよ〜

第4話:当主の帰還

「おかえりなさいませ、旦那様」

 領内視察のため数日屋敷を離れていたアルフレッドは、出迎えの使用人に鞄と上着を預けると、まっさきに書斎へと足を向けた。

 椅子に腰を下ろすや否や、白髪を後ろに撫でつけた老齢の家令ジェラールが、不在中の出来事を報告しはじめる。

 クリスティーヌが自室に籠もっているのは少々気がかりではあるものの、それ以外は特に屋敷で大きな問題は起きていないようだ。

 ジェラールの報告に耳を傾けながらも、アルフレッドは書類を確認する手を止めない。
 なにせ一分一秒でも時間が惜しい。名門公爵家の当主として担う職務は、あまりにも膨大だった。

 所有する領地は広大で、おまけに貿易で賑わう港街や交通の要所となる都市をいくつも抱えている。各地に領地管理人を配置し、日常的な運営は現地の判断に委ねているが、当然すべてを任せきりにはできない。

 上がってくる報告書の精査はもちろん、必要とあらば今回のようにみずから現地へ赴き、問題があれば即座に対処する──それが当主の責務だ。

「第三鉱区の〝輝石〟産出量が昨年に比べて落ちているのが気になるな。なにか報告は?」

「いえ、届いている資料はそちらのみでございます」

「ではすぐに第三鉱区長へ連絡を。原因を早急に究明し、こちらにも情報共有するよう伝えてくれ」

「承知いたしました」

「それと領都の気象学者から、今年は例年より早く夏入りする可能性が高いとの報告があった。猛暑による需要増加に備え、冷鉱石の採掘プランの見直しも視野に入れてほしい」

「かしこまりました。そちらもあわせて伝えます」

「頼んだ」

 リシャール公爵領の財政基盤を支える柱は主にふたつある。
 ひとつは領民からの税収。そしてもうひとつが、北西部の採石場から産出される天然資源──〝輝石〟による収益だ。

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