【完結】転生幼魔女は生き延びたい!~唯一無二の力はナイショだよ〜
 ꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖


 すー、すーと安らかな寝息を立てるセレスティアの姿を、マリアベルは目を細めて眺めていた。

『今日はよく頑張ったわね』

 たとえ前世の記憶があろうと、普通の子供より多少思考が大人びていようと、セレスティアという人間はまだ三歳。
 長い時を生きるマリアベルからすれば、赤子、いや胎児のようにか弱い存在だ。

 それでも小さな身体で、今の自分にできることを一生懸命やろうとしている。
 これを偉いと言わずして、なんと言うだろう。

(まぁ、調子に乗るのは目に見えてるから、本人には言わないけれど)

 その時、セレスティアが「んんぅ……」と小さく唸り、ころんと寝返りを打って丸くなった。

「むにゃむにゃ……おっきなカニ……ふへへ、おいしいぃ……」

『さっきまでご馳走を堪能していたでしょうに。夢の中でまで食べているの? 筋金入りの食いしん坊ですわね』

 ずれた毛布をくわえて掛け直し、起こさないように優しくセレスティアの頭を撫でた。
 そしてベッドから床に下り立ち、部屋の出入り口へと向かう。

 猫ならではの脚力で飛び上がり、ドアノブに手を引っ掛けて扉を開けると、その隙間からするりと夜の廊下へ出た。

(さてと。おチビさんが寝ている間に、アタクシも一肌脱いであげましょうかね)

 アルフレッドとクリスティーヌの離婚を阻止するため、ふたりの仲を深める友好な手立てはないか。情報を求めて屋敷の中を歩き出す。

 まず向かったのは、アルフレッドがいると思しき当主の書斎。
 廊下の角を曲がって部屋の前まで来ると、タイミングよく扉が開き、アルフレッドが姿を現した。

 彼はそのまま淀みのない足取りで進みはじめる。

『ん? こんな時間にどこへ行くのかしら?』

 しばらく後ろをついていきながら様子を窺っていたマリアベルは、アルフレッドの行き先を知り、上機嫌に喉を鳴らした。

『あらあら、まぁまぁ。こんな夜更けに……。ふふっ、アナタの頑張りはどうやら無駄じゃなかったみたいですわよ、セレスティア』


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