転生幼魔女は生き延びたい!~唯一無二の力はナイショだよ〜

第4話:継母クリスティーヌ

「わたし、もうげんき! だいじょうぶ!」

 そう訴えつづけて迎えた、三日目の朝。
 心配性なポーラが首を縦に振ってくれたことで、ベッドの上の住人だったセレスティアはようやく療養生活から解き放たれた。

(やったー! 自由だ~!)

 解放感に包まれテンションが上がるものの、暢気に喜んでばかりもいられない。

「ぽーら! あのね、くりすちーぬさまのとこ。ごあいさつに、いきたいの! だからね、かわいくして、ほしいの」

「ふふっ、かしこまりました。このポーラにお任せください」

 鏡台の前にある椅子に座ると、背後に立ったポーラが緩やかに波打つマリーゴールド色の髪をブラシで丁寧に()かしていく。

 普段は長髪を背に流し、髪飾り(ヘアピン)などをつけるくらいだが、今日はおめかしを頼んだため手の込んだ髪型にしてくれるようだ。
 ポーラがテキパキと手を動かす。

 まずはサイドの髪を編み込み、残りの髪とあわせて耳下で結ぶ。
 同じことをもう片方にも施し、結び目を白いリボンで飾れば、編み込み風おさげ髪の完成だ。
 
 首を左右に振ると、ふたつの毛束がふるふると揺れた。
 ウサギの垂れ耳のようで可愛らしく、嬉しくなって「ふへへっ」と笑うと、鏡越しにポーラも目尻を下げて微笑んだ。
 
 勝負服に選んだのは、春に咲くチェリーブロッサムを思わせるパステルピンクのドレス。
 襟元や袖、裾に純白のフリルがあしらわれた可憐なデザインで、身にまとうだけで自然と気分が上がる。セレスティアのお気に入りの一着だ。

 姿見の前でくるりと回ってみせると、親バカならぬ乳母バカなポーラがニコニコと拍手を送ってくれた。

「あぁ……! 今日は一段とお可愛らしいですわ、お嬢様」

「ありがとう、ぽーら! ──いよぉし!」

 腰に手を当てて気合いを入れたセレスティアは、キリッとした顔で扉を見つめた。
 足元ではマリアベルがセレスティアの格好を真似して後ろ足で器用に仁王立ちし、『頑張りなさいな』と激励を送ってくれる。

「みなのもの、ゆくぞっ! いざっ、けっせんの、ちへ!」

 セレスティアと継母の対面を見届けるべく集った風の精(シルフ)小人(ブラウニー)三人衆が『おーっ!』と雄叫びを上げた。

 一方、そんな妖精たちの声がまったく聞こえないポーラはというと。

「皆の者? 決戦の地? そんな言葉、どこで覚えてきたのかしら?」

 不思議そうに首を傾げながら、勇ましく部屋を出ていくセレスティアの後を追うのだった。


 ꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖  ꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖


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