野いちご源氏物語 四六 椎本(しいがもと)
昇進(しょうしん)後はあれこれとお忙しかったから、秋の初めになって、ひさしぶりに宇治(うじ)をご訪問なさった。
都はまだ秋らしくなっていないけれど、宇治へ向かう道中(どうちゅう)は風が冷ややかで、少しずつ紅葉(こうよう)も始まっている。
<やはり来てよかった>
(かおる)(きみ)がそうお思いになっている以上に、(はち)(みや)様は薫の君をお待ちかねだった。
春からずっと心細くお思いのことを、あれもこれも打ち明けなさる。
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