恋愛期間0。彼の毒はスイーツより甘かった。(仮)
 秋が深まってきたとは言え、昼間に焚き火は暑い。
 借りていたパーカーを脱ぎ、Tシャツ一枚になって調理を続けると、塩田が一旦カメラを止めた。

「それ、何か入れてんの?」
「″それ?″」
「パット?」

 は?
 いきなり親父のセクハラか。
 ボーイッシュな印象を他人に与える分、標準より大きめの胸は、自身違和感があり、ずっと体型隠しの服を着てきた。
 塩田の視線が胸から逸れる。その顔は赤い。(炎のせいかもしれないけど)
 塩田を男と意識していなかったから、白Tに濃紺のブラもお構い無しだった。

 しかし、まさか辞めてからもシナモンやレーズンを買う日が来るとは思わなかった。

「焼き林檎って、くりぬいてそこにバターとか砂糖突っ込むんじゃないの?」
「中をくり抜いたら林檎の旨味逃げちゃうから、一旦カラメルソースで包み焼きしてから入れる」
「キャンプ向きじゃねーな」

 そう言われても、好きなように作り、焼き上がった林檎はめちゃ良い香りがした。
 カメラを止めた塩田に食べさせる。

「シナモンもレーズンも火の通った果物も嫌いだったけど、これなら食えるわ」

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