君の事好きになっても良いですか?

「晃」
「お前の気持ち、軽く扱うつもりはない。」

その言葉が、
一番、胸に刺さった。


「……それ、優しさのつもりか?」



思わず、そんな言い方をしてしまう。

でも、理央は否定しなかった。



「……違う。」
「正直なだけだ。」


……ずるい。
そんな言い方ずるい……。
お前の事が嫌いなれない。


「……琴音、幸せそうだった?」

聞かずにはいられなかった。

一瞬の沈黙のあと、理央は答えた。

「うん。」
「俺の家で」
「すごく、安心した顔してた。」

その情景が、
嫌でも頭に浮かぶ。
離れない……何故か鮮明に浮かんでくる。

――理央の部屋。

――琴音の笑顔。



胸の奥が、じわじわ痛む。
苦しい……。

「……そっか。」


それでも、不思議と涙は出なかった。


「なら、いい。」



自分でも驚くほど、
静かな声だった。


「晃……。」



「なあ、理央。」



俺は、天井を見つめたまま言った。



「俺、まだ琴音が好きだ」
「これは、正直な気持ち。」

一瞬、息を呑む音が聞こえた。

「でもな」
「奪うつもりは、もうない」

「…………。」

理央は黙って俺の話しを聞いてくれた。


「琴音が選んだのがお前なら」
「俺は、それを壊したくない」

沈黙の向こうで、
理央が深く息を吸うのが分かった。

「……ありがとう。」

「礼、言われるようなことじゃない。」
「だけど、琴音がものすごく悲しむ」
「ような事を理央がしたら、」
「俺は奪いにいく。」

「あぁ……わかった。」


「ただ」
「俺は簡単には、諦めきれないだけだ。」



「……それでいい。」

理央の声は、
少しだけ震えていた。

「もし、琴音が理央といて不幸に」
「なるような事あったら……」
「俺が、琴音を幸せにする。」
「それだけは、譲らない。」

「……分かった」
「それじゃ、そろそろ切るな。」


「あぁ……またな理央。」


通話が、静かに終わる。

スマホを胸の上に置いて、
俺は目を閉じた。

好きだ……
今も、これからも

でも――
琴音が理央といる事で笑ってるなら……


胸の痛みを抱えたまま、
俺はゆっくりと眠りについた。


その頃の晃 終わり

第14話 カラオケ後のお家デート

END


< 123 / 154 >

この作品をシェア

pagetop