君の事好きになっても良いですか?
「晃」
「お前の気持ち、軽く扱うつもりはない。」
その言葉が、
一番、胸に刺さった。
「……それ、優しさのつもりか?」
思わず、そんな言い方をしてしまう。
でも、理央は否定しなかった。
「……違う。」
「正直なだけだ。」
……ずるい。
そんな言い方ずるい……。
お前の事が嫌いなれない。
「……琴音、幸せそうだった?」
聞かずにはいられなかった。
一瞬の沈黙のあと、理央は答えた。
「うん。」
「俺の家で」
「すごく、安心した顔してた。」
その情景が、
嫌でも頭に浮かぶ。
離れない……何故か鮮明に浮かんでくる。
――理央の部屋。
――琴音の笑顔。
胸の奥が、じわじわ痛む。
苦しい……。
「……そっか。」
それでも、不思議と涙は出なかった。
「なら、いい。」
自分でも驚くほど、
静かな声だった。
「晃……。」
「なあ、理央。」
俺は、天井を見つめたまま言った。
「俺、まだ琴音が好きだ」
「これは、正直な気持ち。」
一瞬、息を呑む音が聞こえた。
「でもな」
「奪うつもりは、もうない」
「…………。」
理央は黙って俺の話しを聞いてくれた。
「琴音が選んだのがお前なら」
「俺は、それを壊したくない」
沈黙の向こうで、
理央が深く息を吸うのが分かった。
「……ありがとう。」
「礼、言われるようなことじゃない。」
「だけど、琴音がものすごく悲しむ」
「ような事を理央がしたら、」
「俺は奪いにいく。」
「あぁ……わかった。」
「ただ」
「俺は簡単には、諦めきれないだけだ。」
「……それでいい。」
理央の声は、
少しだけ震えていた。
「もし、琴音が理央といて不幸に」
「なるような事あったら……」
「俺が、琴音を幸せにする。」
「それだけは、譲らない。」
「……分かった」
「それじゃ、そろそろ切るな。」
「あぁ……またな理央。」
通話が、静かに終わる。
スマホを胸の上に置いて、
俺は目を閉じた。
好きだ……
今も、これからも
でも――
琴音が理央といる事で笑ってるなら……
胸の痛みを抱えたまま、
俺はゆっくりと眠りについた。
その頃の晃 終わり
第14話 カラオケ後のお家デート
END