君の事好きになっても良いですか?

第15話 新しい後輩


*琴音*

2学期に入って最初の土曜日



9月に入ったばかりの朝。
まだ夏の名残が残る空気の中、
琴音は制服ではなく、
慣れた私服に着替えバイト先の
作業服をトートバッグに
詰め込んで家を出た。


今日は、9時~17時までバイトで、
私は気合いを入れながらバイト先まで
歩いて向かった。


少し眠そうな目をこすりながらも、
心の奥には穏やかな安心感がある。
昨日の夜、理央と交わした
”明日、終わったら会おうな”
という約束が、胸の奥で小さく温かく灯っていた。
今日バイト終わりが楽しみだなぁ。



理央と、どこで夜ご飯食べようかな。
中華も良いけど、和食でも良いなぁ。
あーでも!オムライスも良いよね!

そんな事を考えながら、歩いていると
目の前に立ち往生して、困っている
優しい目をしたお婆さんが立っていた。
私はすかさず声をかける。



「お婆さん、どうされました?」



「……あっーここに」
「行きたいんだけどぉー」
「行き方が分からなくてのぉ。」


お婆さんは、私に店のチラシを
見せてきた。
そこは、私のバイト先の目の前にある
大手薬局店であった。


「お婆さん、ここ私のバイト先と」
「同じ場所なんで、一緒に行きましょ。」


「一緒に来てくれるのかい?」
「ありがとうねぇー。」


そう言って、優しい目をしたお婆さんは
私に微笑みを見せた。

私もお婆さんに、微笑み返した。



おばあちゃん……懐かしいなぁ。
私のおばあちゃんに会いたいなぁ。

私のおばあちゃんは、
お父さんが亡くなった4か月前に
脳梗塞で突然と還らぬ人になってしまった。
私はおばあちゃんっ子で学校の帰り、
よくおばあちゃんの家に行ってた。

お母さんも、お父さんも共働きで
中々家に居ないことが多いから、
小学生の頃はおばあちゃんの家か、
晃の家に転がり込んでたっけ。


そんな事を思い返しながら、
お婆さんとも会話を楽しんで
道案内する。




「お婆さん、ここが薬局です。」



「ありがとうね。」
「ここまで連れて来てくれて。」



「いえいえ!」
「お役に立てて良かったです。」
「では、私バイトがあるので」
「失礼します。」


私は、お婆さんに手を振ってその場を
後にしバイト先に向かった。


琴音 side 終わり
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