渋谷少女A続編・山倉タクシー
山倉が見舞いに来てくれた
渋谷少女A子のような会釈を残して、私を清拭し終わった看護婦さんが離れて行く。魔王アスラ―から絞殺されそうになった悪夢から私を揺すり起こして醒ましてくれた看護婦さん。これをA子に見立て「ありがとうございます。A子さん」と心中でそっと呟いた。
昼過ぎになって山倉が訪ねて来てくれた。果物やら菓子やらを土産に持って来てくれている。ここの場所は携帯で事前に聞いてくれていたのだ。さすがタクシーの運転手で✕✕病院と告げただけで一発で分かったようだ。それにしてももう何度も云うが、本当に申し訳ないことと思っている。お金を使わせ時間を使わせ彼の商売を邪魔すること甚だしい。その旨をくどくどしく詫びる私に…
「ハハハ、いいよ、いいよ。気にしなさんな。お互い明美ちゃんを救えてよかったじゃないか。それよりさ、ずいぶんと凄まじいご面相になっちまったじゃないか。ええ?」
「ああ、時間が経って腫れあがって来たからな。さっきトイレの鏡で見て来たよ。まあ面目ない話だ」
「うーん、いやいや、そんなことはないさ。男の勲章だよ。田中さん。実際のところさ、俺は見直したよ。川崎で一緒に勤めていた時はあんた、人から云われてもじっと堪えるばかりで殆ど何も云い返さなかったじゃないか。もう常識もクソもない、殆ど難癖に近いことを云う奴も居たし…俺はそういうの大嫌いだったからさ、あんたを応援するつもりでお近づき願ったんだよ。だけど本当はいい根性してたんだ。ええ?大したもんだよ。ハハハ。それで、傷の方はどうだって?医者はなんて云ってた?」
往時のこと、〝人から云われてもじっと堪えていただけ…〟という背景には、件のストーカーどもを通じて、私の不名誉な事柄をSNS上で流されていたという事実があったのである。
昼過ぎになって山倉が訪ねて来てくれた。果物やら菓子やらを土産に持って来てくれている。ここの場所は携帯で事前に聞いてくれていたのだ。さすがタクシーの運転手で✕✕病院と告げただけで一発で分かったようだ。それにしてももう何度も云うが、本当に申し訳ないことと思っている。お金を使わせ時間を使わせ彼の商売を邪魔すること甚だしい。その旨をくどくどしく詫びる私に…
「ハハハ、いいよ、いいよ。気にしなさんな。お互い明美ちゃんを救えてよかったじゃないか。それよりさ、ずいぶんと凄まじいご面相になっちまったじゃないか。ええ?」
「ああ、時間が経って腫れあがって来たからな。さっきトイレの鏡で見て来たよ。まあ面目ない話だ」
「うーん、いやいや、そんなことはないさ。男の勲章だよ。田中さん。実際のところさ、俺は見直したよ。川崎で一緒に勤めていた時はあんた、人から云われてもじっと堪えるばかりで殆ど何も云い返さなかったじゃないか。もう常識もクソもない、殆ど難癖に近いことを云う奴も居たし…俺はそういうの大嫌いだったからさ、あんたを応援するつもりでお近づき願ったんだよ。だけど本当はいい根性してたんだ。ええ?大したもんだよ。ハハハ。それで、傷の方はどうだって?医者はなんて云ってた?」
往時のこと、〝人から云われてもじっと堪えていただけ…〟という背景には、件のストーカーどもを通じて、私の不名誉な事柄をSNS上で流されていたという事実があったのである。