渋谷少女A続編・山倉タクシー

あのあとのことを告げる山倉

「ああ、そう。それはよかった。しかし何よ、このあとまだ3週間も入院すんの?それじゃあ入院費が高く付くでしょ」
「いいや、入院はせいぜい2、3日でいいそうだ。全治3週間っていうのはそのあとの通院を含めてのことだよ。尤も俺は金が無いからさ、そんなに通いはしないさ。退院したらもう来ないつもりなんだよ」
「そうか…仕方がないな。いま失職中だったしな。しかしあんたもホントついてないな。一度お廻りを通じて掛け合った方がいいぜ、あいつらと。高く吹っ掛けてやれよ。損害賠償をさ」
山倉はそう云ってくれるが果してどうなんだろうか?そうすんなりと話が通るとは思えなかった。「営利誘拐だ!」などと大声でのたまわる連中だ。自分たちこそ暴行を受けているとか云って、逆に損害賠償を請求されかねない。恐らくヤクザか何かなのだろう。このあと予想される裁判での証言には応じるつもりだが、正直あんな連中と関わるのは真っ平御免だった。何よりも私はまず仕事を探さねばならない身の上なのだ。そういった意向を私は山倉に告げた。それよりはあのあとの顛末が気になる。それを先刻の山倉からの電話で尋ねたのだが「ああ、もうすぐ病院に着くからさ、そこで教えてやるよ」と聞いただけで今はまだ何も知らないのだ。明美ちゃんやあの栄子さんという女性、ビアクさんはいったいどうなったのか?また男らへの尋問の結果は?私は私の話をうっちゃってそれを山倉に尋ねる。
「ああ、そうそう、そのことそのこと。心配要らないよ、田中さん。あいつら捕まった。逮捕されたぜ。牢屋に拘留されてこのあと暫く出れないそうだ」
私の危惧を打ち消すべく、また朗報を伝えるように山倉が笑顔で答えてくれた。
< 44 / 48 >

この作品をシェア

pagetop