モブ姫に転生したら幽閉されていました ~二ヶ月後に王家滅亡らしいので逃げるつもりでしたが、なぜか溺愛が始まりました~
抜け道のような小さな場所を見つけ、自分が小さかったことに感謝しつつ、アリエスは温室へと忍び込んだ。
まるで天国かと思うような、たくさんの花々が咲き乱れ、温かい空間。蝶が飛び回り、甘い香りがする。
「うわー」
つい、声を上げたアリエスだったが、すぐに自分の目的を思い出す。
「とりあえず、体力回復の薬草と……、もう!どうしてお母様の状態を見てから外に出れなかったのよ」
塀の外には出たかったが、せめて母の様子を確認してからにしたかった……。アリエスはそう思うが、今はせっかくの機会をつぶしたくはなかった。
「えっと……」
周りを見渡しながら温室を走り回っていたその時だった。
「どうやって入った?」
血を這うような声に、アリエスはびくりと肩を震わせ、足を止めた。
その声は低く、確実に“殺意”を含んでいる。
振り向くことすらできず、彼女はガタガタと震える自分の身体をなんとか押しとめようと自分の腕を抱いた。
魔力を持ったことで敏感になったのか、目の前の人物が放つ“膨大な魔力”が、本能的に危険を告げていた。
(どうしよう……!!)
逃げ出したくても、出口は後ろ。
つまり、その人物が立っている場所の先だ。
アリエスはただ、その場に立ち尽くすしかなかった。
「子供。何者だ? ここが国王しか入れぬ場所だと知らなかったのか?」