モブ姫に転生したら幽閉されていました ~二ヶ月後に王家滅亡らしいので逃げるつもりでしたが、なぜか溺愛が始まりました~
(国王……?)
アリエスは言葉の意味を理解し、わずかに息を呑んだ。
国王専用の温室があることは、噂話好きの侍女から聞いたことがある。
ここ数年閉じ込められていたが、母と親しかったその侍女は、ときどき王宮内のことを話してくれた。
そして──目の前にいる男こそ、現国王レオンハルト。
前国王が亡くなったのに、元居た妻や側室などには一切興味を持たず、放置して、アリエスたちを解放しない男。
国の為ならばなんでもする男ーー。
(この男が……すべての元凶だ)
その感情に背を押されるように、アリエスは意を決し、ゆっくりと振り返った。
そして、目の前の男の姿を見て、息を呑んだ。
そこにいたのは、彼女が前世で何度もページをめくり、涙を流し続けた物語──
『滅びの王宮に咲く最後の花』
に登場した、あの国王そのものだった。