モブ姫に転生したら幽閉されていました ~二ヶ月後に王家滅亡らしいので逃げるつもりでしたが、なぜか溺愛が始まりました~
「黒い牙の魔獣」が北の森から城下町を急襲するーー。曖昧だが滅亡する原因になったのはこのことだったはず。
完璧に結界が張られたこの国が、どうしてこんなことが起きたのかは思い出せないーー。その事件をきっかけにこの国王の自滅が始まるのだ。自分を犠牲にして、魔獣を止める。まるで自分の命など必要ないと言わんばかりにーー。
今ならまだ間に合う。この初動の遅れが致命傷になるのだから……。
そう、あのとき、この国王はこの王室にいて、報告が遅れたのだ。
アリエスはゆっくりと顔を上げた。
「こう王陛下。すぐに……北の森へ兵を出してください」
レオンハルトの瞳が細くなる。
「……どういう意味だ」
「数日後、魔獣が来ます。城下に……」
「……!」
レオンハルトの指がわずかに震えた。剣先がアリエスの皮膚をかすり、赤い血が一滴落ちた。
「何を根拠に……子供の戯言で国の軍を動かせると思うな」
アリエスは唾を飲み込み、震えを抑えながら続ける。