モブ姫に転生したら幽閉されていました ~二ヶ月後に王家滅亡らしいので逃げるつもりでしたが、なぜか溺愛が始まりました~
「戯言ではありません。北の森の結界は緩み、“黒い牙の魔獣”が巣を作っています。あの群れ暴走します。数日後に」
レオンハルトの眉が僅かに跳ねた。
──黒い牙の魔獣。
その存在を知る者は王宮内でもごくわずか。
さらに“巣の状況”まで把握している人間などいない。
その瞬間。
さらに首に痛みが走る。
(この暴君!本当にこんな子供を殺す気なの?)
アリエスは少しだけブルーの瞳が紫に変わるのを見つつ、叫ぶように言葉を続けた。
「もしも、これが偽りであれば、その時、私の首をはねていたけないでしょうか。どうか温情を」
レオンハルトの瞳が大きく見開かれ、ゆっくりとアリエスに視線を戻した。
「もしも、もしも偽りだったとき、どうなるかはわかっているな?」
「はい」
真っすぐにレオンハルトと瞳を見つめ、アリエスははっきりと頷いた。
「迷ったなら、早く戻れ」
それだけの言葉を残し、レオンハルトはマントを翻し温室を出て行った。
(……助かった。 前世の物語を覚えていて、本当に……よかった)
(でも……どうしよう。このままじゃ、二か月後には……)
温室の硝子に映る自分の姿を見つめながら、アリエスはそっと唇を噛んだ。
(絶対に……絶対に運命を変える。お母様だけは、死なせない)
そう心に誓ったーーー。

