モブ姫に転生したら幽閉されていました ~二ヶ月後に王家滅亡らしいので逃げるつもりでしたが、なぜか溺愛が始まりました~
(必要だといったのに、どうして私たちはここに閉じ込められてるの? こんな扱いをされることなんて……)
アリエルは八歳になり、分別もつくようになった。今の現状が絶対におかしいことはわかってる。
母と呼ばれるミラージュは、二十六歳とは思えないほど疲れ切っていた。かつては踊り子として名を馳せた美貌の持ち主だったはずだ。しかし今は、栄養も魔力も奪われ、頬はこけて影がさしている。
(魔力があるからって……。どうして? どうしてこんなところに閉じ込められるの?)
「今日の食事は、お母様が食べないとだめだからね」
アリエスがパンに手を伸ばして母へ渡そうとしたとき、パンの裏側にびっしりと生えたカビが目に飛び込んできた。
胸の奥が怒りで熱くなる。
(酷い……。こんなもの、食べられるわけ……)
「何か……私、食べられるものを探してくる」
そう言いかけたアリエスを、ミラージュは首を横に振って制した。ここから出られないこと、万が一出られても危険が及ぶことが分かっているのだろう。