×されるはずが、溺愛される件について

 こんなに幸せでいいのかと思うひと月が過ぎた。

 暑い夏は過ぎ、青々としていた木々の葉は落ち始め宮殿の庭園にも穏やかな秋が訪れている。

 今日は珍しく午後からレオがいるので庭園のガゼボでゆっくりとティータイムを楽しめる。八角形の屋根を持つ白いガゼボの柱には薔薇が伝っていてなんとも美しい風景だ。

 毎日がこうだといいのにと思うけれど、レオは相変わらず忙しいし、リーナも午前中は教育係との勉強があるし、最近はお茶会にも呼ばれたりする。

 大規模な集まりになると必ず皇太后が一緒に参加してくれるおかげで、リーナへの対応が以前とは違ってきている。積極的に話しかけてきたり、お茶会に誘ってくれたりするようになっていた。

 リーナ自身も気持ちが変わってきた。ヴィクトリアに感じていた劣等感を乗り越え、少しずつでも皇太子妃として認めてもらえるといいなと前向きになった。

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