夏と先生と初恋。
「…ごめん」
「…空回りすぎなんだよ。今の自分のソロ、録音して聴いてみろよ」
涼は、本気だ。
こんなに怒った涼は初めて見たかもしれない。
「どうせ誰かの真似だろ?つぎはぎだらけで、ひまりが何してぇのか、なんも伝わってこない」
「——っ、」
涼の目は、いつも真っ直ぐだ。
真っ直ぐにわたしを射抜く。
その真っすぐな瞳が、言葉が、すごくこわい。
「涼くん!言い過ぎだよ!」
沙耶に肩を叩かれた涼が、はっと我に帰ったように口をつぐむ。
「…わるい。言い過ぎた。頭冷やしてくる」
涼が保健室のから、冷たい廊下へ出ていく。
沙耶が心配そうに涼を見ている。
「…沙耶ももう部活戻りな?」
正直、今は1人になりたい。
「でも…」
「沙耶もオーディション近いでしょ?」
「…うん」
わたしの問題に沙耶を巻き込むわけにはいかない。