夏と先生と初恋。
言葉にすると余計に涙が止まらなくなる。
薄っぺらくて、焦りしか伝わらないわたしの音。
好きになんてなれるわけない。
「竹中は、もっと自由になったらいいよ」
「…自由?」
「自分が吹きたいように吹くんだ」
…吹きたいように?
でも、それだと…
「自分の音を信じてごらん?竹中の音は竹中が思っているより、薄っぺらくも、弱くもないんじゃないかな」
自分の音を、信じる。
「誰かと同じじゃなくていいんだよ。竹中は、竹中なんだから」
大丈夫な気がしてくるのはなんでだろう。
クラリネットを触ったわけでもなければ、曲を聴いているわけでもない。
わたしは、自分の音が信じられなかったのかもしれない。
だから他人の演奏を真似してつぎ合わせて、自分の音から逃げていた。
いつのまにか、涙は止まっている。
「…わたしの音で、頑張ってみます」