夏と先生と初恋。


✳︎ ✳︎ ✳︎




扉の隙間から漏れ聞こえるフルートの音。


硬い表情をして廊下に並ぶクラリネットの面々。


コンクールのメンバーオーディションは、パートごとに行われることになった。


…これは、沙耶の音かな


沙耶の音は人一倍聴いてきたから。


顔を見なくてもわかるに決まっている。


沙耶が吹き終えると同時にフルートの音が鳴り止んだ。


足音が近づいてきたと思えば扉が開いて、フルートの人たちが出てくる。


…次は、わたしたちだ。


梨香先輩を先頭にして音楽室に入っていく。


すれ違いざまに、沙耶に肩を叩かれた。


メンバーオーディションに落ちたらソロを吹くどころじゃない。


まずはここで、勝たないと。


藤木先生と副顧問の先生たちの前に一列に並ぶ。



「じゃあ、始めようか」



藤木先生から向けられる視線が、いつもよりほんの少しだけ鋭いような気がする。
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