雨の王妃 ~私を押しのけて自分が聖女だと言ったくせに、失敗したら、生贄になると聞いた途端、私が聖女だと言ってきました~
リラが男に連れられ出て行ったあと、龍美も牢から出された。
水がないので、一度、神殿に供えたという布で軽く身体を拭かれ、身を清められる。
女官たちがこの辺りでは作れないという透けるような軽く美しい布を龍美の身体に巻き付け、金の装身具をつけて、ドレスのように仕立ててくれる。
あれみたいだな、と龍美は思った。
着物屋さんで反物を巻きつけて、浴衣みたいにしてくれるやつ。
女官に手を引かれ、最初にこの世界に呼び出された神殿の間に行くと、みなが龍美に向かい、膝をついて頭を下げていた。
「偉大なる聖女様」
とみな、口々に言う。
あっ、なにそこそこいい格好して跪いてんですかっ、麻田さんっ。
リラは上等な布を巻きつけたらしき服を着て、あの男とともに、貴族たちが並ぶ場所に一緒に並んでいた。
この二、三日で、急に美味しいもの食べましたね。
肌も髪もつやつやじゃないですかっ、などと思っているうちに、聖女となる儀式が進む。
麻田さんのあのたくましさを見習いたいけど――。
私の場合、この状況で、どう見習ったら……。
龍美は聖女が雨降らしの儀式を行うという泉の前に連れて来られていた。