部長と私の秘め事
引っ越しパーティー
「災害時にも介護用にも使えるし、髪を洗う気力がない時にも、なんなら健康な時でも髪をスッキリさせたい時にいいんだってさ」
「ほう……」
白いボトルを見ていると、尊さんがシャカシャカとスプレー缶を振り、私の髪を掻き上げて根元にシュッとスプレーを掛けてきた。
冷たい。でもシュッシュッと掛けられて頭皮を揉みほぐされていくと、だんだんスッキリした気持ちになっていく。
「ドライシャンプー、ミストのとこれがあったんだけど、店の人に聞いたら『ロングヘアならガススプレーがいい』って言われたからそうした。どう?」
言われて髪に触ってみると、べたついていたのが思いの外サラサラしてびっくりした。
「凄いですね、これ」
「だろ。……って、俺も初めて使ったけど」
尊さんはなぜか自慢げに言い、そのあとも私の髪にスプレーを掛けては頭皮を揉んでいく。
すっかり頭がサッパリした頃には、私は人生初ドライシャンプーに感動していた。
「さて、猫の体も拭くか」
……と、尊さんは温かいおしぼりを広げ、私を見てニヤリと笑った。
洗面所のタオルウォーマーには常に温かいおしぼりがセットしてあり、尊さんが髭を剃る時や私がクレンジングする時に活躍している。
「さあ、脱げ」
「…………やだ」
ビクッとして拒絶すると、彼は真剣な顔をしてトントンとデスクを指で叩き、「チョッチョッチョッ……」と口を鳴らして私をおびき寄せようとする。
「猫じゃないです」
「気長に手懐けていくしかねぇな。……とりあえず、綺麗にさせてくれ」
「わっ」
尊さんは椅子に座っていた私を抱き上げると、ベッドに寝かせパジャマを脱がせてくる。
「ま……っ、待って……。んー」
あわあわしている間に上半身を脱がされてしまい、程よく冷めたおしぼりで肩を拭かれた瞬間、あったかいのが気持ちよくて声を上げてしまった。
「ほら、気持ちいいだろ? 大人しく拭かれてくれ」
調子づいた尊さんはおしぼりで私の体を丹念に拭き、腋も乳房の下も丁寧に拭っていく。
「……はずかしぬ……。……もうお嫁にいけない」
「俺が喜んで嫁にもらうから、このまま拭かれとけ」
そのあと尊さんはパジャマのズボンを容赦なく脱がし、脚からつま先、足の裏に指の間も拭き、パンツをめくって蒸れている腰周りやお尻まで拭いてきた。
「うううー……」
終わったあとは新品のパジャマを着せられ、ポンと羽布団を掛けられる。
「そんな顔して睨むなよ。『我、屈辱なり』って顔してる猫みたいだな、ホントに」
そのあと彼はコットンにクレンジングミルクを含ませ、丁寧に顔を拭ってから、オールインワンジェルとアイクリームを塗ってくれた。
「これだけ塗ればいいっていうの、時短したい時に便利だな」
私が肌に気を遣っているのを理解してか、尊さんはとても優しい手つきで塗ってくれた。
なんなら私が自分でやるより丁寧で、エステみたいだ。
「……ありがとうございます」
「朱里のもちもちほっぺを守るのは、俺の義務だから」
笑ったあと、彼は洗濯物を持って部屋を去っていった。
尊さんにインフルをうつさないかずっと心配していたけれど、数日経っても彼はピンピンしたままだった。
「予防接種したからかな?」と言っていたけれど、六十パーセントの有効率らしいので、「運勝ち」らしい。
寝込んでいる間、恵から【どうせ引っ越しするんだし、荷物纏めておこうか?】と連絡があった。
尊さんに相談したら「いい機会なんじゃないか?」と言われ、母にも手伝ってもらって、引っ越しの準備を進める事にした。
一週間経つ頃には私も参加して片付け、尊さんが引っ越し業者に連絡を入れてくれ、翌週には私物はすべて尊さんの家に運ばれた。
ローテーブルやシングルベッドは長いお付き合いだったけど、リサイクルショップに引き取ってもらう事にする。
その他の物は粗大ゴミでバイバイだ。
不動産屋にも連絡しておいたので、先に退去してあとは契約が切れるのを待つのみとなり、幸いにもゴチャゴチャ言われる事はなく、引っ越しはすんなりと完了した。
仕事復帰したあとに引っ越し完了、いつものように過ごしつつ、次の週末は尊さんの家で引っ越しパーティーをする事になった。
「本当に素敵なお宅ねぇ~」
母は両手を頬に当てて広々としたリビングダイニングを見回し、継父も亮平も美奈歩も、みんな呆気にとられた顔をしている。
恵も参加しているけれど、彼女は家族とすでに面識がある。
町田さんは前日から手の込んだ料理を沢山作ってくれて、テーブルにはご馳走が沢山並んでいた。
「ほう……」
白いボトルを見ていると、尊さんがシャカシャカとスプレー缶を振り、私の髪を掻き上げて根元にシュッとスプレーを掛けてきた。
冷たい。でもシュッシュッと掛けられて頭皮を揉みほぐされていくと、だんだんスッキリした気持ちになっていく。
「ドライシャンプー、ミストのとこれがあったんだけど、店の人に聞いたら『ロングヘアならガススプレーがいい』って言われたからそうした。どう?」
言われて髪に触ってみると、べたついていたのが思いの外サラサラしてびっくりした。
「凄いですね、これ」
「だろ。……って、俺も初めて使ったけど」
尊さんはなぜか自慢げに言い、そのあとも私の髪にスプレーを掛けては頭皮を揉んでいく。
すっかり頭がサッパリした頃には、私は人生初ドライシャンプーに感動していた。
「さて、猫の体も拭くか」
……と、尊さんは温かいおしぼりを広げ、私を見てニヤリと笑った。
洗面所のタオルウォーマーには常に温かいおしぼりがセットしてあり、尊さんが髭を剃る時や私がクレンジングする時に活躍している。
「さあ、脱げ」
「…………やだ」
ビクッとして拒絶すると、彼は真剣な顔をしてトントンとデスクを指で叩き、「チョッチョッチョッ……」と口を鳴らして私をおびき寄せようとする。
「猫じゃないです」
「気長に手懐けていくしかねぇな。……とりあえず、綺麗にさせてくれ」
「わっ」
尊さんは椅子に座っていた私を抱き上げると、ベッドに寝かせパジャマを脱がせてくる。
「ま……っ、待って……。んー」
あわあわしている間に上半身を脱がされてしまい、程よく冷めたおしぼりで肩を拭かれた瞬間、あったかいのが気持ちよくて声を上げてしまった。
「ほら、気持ちいいだろ? 大人しく拭かれてくれ」
調子づいた尊さんはおしぼりで私の体を丹念に拭き、腋も乳房の下も丁寧に拭っていく。
「……はずかしぬ……。……もうお嫁にいけない」
「俺が喜んで嫁にもらうから、このまま拭かれとけ」
そのあと尊さんはパジャマのズボンを容赦なく脱がし、脚からつま先、足の裏に指の間も拭き、パンツをめくって蒸れている腰周りやお尻まで拭いてきた。
「うううー……」
終わったあとは新品のパジャマを着せられ、ポンと羽布団を掛けられる。
「そんな顔して睨むなよ。『我、屈辱なり』って顔してる猫みたいだな、ホントに」
そのあと彼はコットンにクレンジングミルクを含ませ、丁寧に顔を拭ってから、オールインワンジェルとアイクリームを塗ってくれた。
「これだけ塗ればいいっていうの、時短したい時に便利だな」
私が肌に気を遣っているのを理解してか、尊さんはとても優しい手つきで塗ってくれた。
なんなら私が自分でやるより丁寧で、エステみたいだ。
「……ありがとうございます」
「朱里のもちもちほっぺを守るのは、俺の義務だから」
笑ったあと、彼は洗濯物を持って部屋を去っていった。
尊さんにインフルをうつさないかずっと心配していたけれど、数日経っても彼はピンピンしたままだった。
「予防接種したからかな?」と言っていたけれど、六十パーセントの有効率らしいので、「運勝ち」らしい。
寝込んでいる間、恵から【どうせ引っ越しするんだし、荷物纏めておこうか?】と連絡があった。
尊さんに相談したら「いい機会なんじゃないか?」と言われ、母にも手伝ってもらって、引っ越しの準備を進める事にした。
一週間経つ頃には私も参加して片付け、尊さんが引っ越し業者に連絡を入れてくれ、翌週には私物はすべて尊さんの家に運ばれた。
ローテーブルやシングルベッドは長いお付き合いだったけど、リサイクルショップに引き取ってもらう事にする。
その他の物は粗大ゴミでバイバイだ。
不動産屋にも連絡しておいたので、先に退去してあとは契約が切れるのを待つのみとなり、幸いにもゴチャゴチャ言われる事はなく、引っ越しはすんなりと完了した。
仕事復帰したあとに引っ越し完了、いつものように過ごしつつ、次の週末は尊さんの家で引っ越しパーティーをする事になった。
「本当に素敵なお宅ねぇ~」
母は両手を頬に当てて広々としたリビングダイニングを見回し、継父も亮平も美奈歩も、みんな呆気にとられた顔をしている。
恵も参加しているけれど、彼女は家族とすでに面識がある。
町田さんは前日から手の込んだ料理を沢山作ってくれて、テーブルにはご馳走が沢山並んでいた。