部長と私の秘め事
「今カノの二人に失礼だけど、風磨さんと尊さん、どれぐらい経験人数ある? やっぱり数をこなして上手くなったの? 私、次に付き合うなら、大勢と付き合った人がいいのかな? って思ったりして……」
「「いやいやいや!」」
春日さんの言葉を聞き、私とエミリさんは同時に突っ込んだ。
「経験豊富な人は逆に不安になるし、『過去の女と比べられてるかも』って不安になるからやめとけ! そしてそういうタイプは一人の女で満足できずに、浮気しやすいイメージがあるからオススメしない。逆に童貞でも経験人数が少なくても、きちんと育てたら理想の男になる!」
エミリさんがまじめな顔で忠告し、私もうんうんと頷いて続ける。
「今言ったみたいに、肝心なのは相手の事を考えられるかどうかと、女性が相手を不快にせず自分の意見を言えるかなんです。どれだけ経験人数が多くても、独りよがりなセックスをしているなら意味がないです。あと、お願いだから、練習だと思ってSNSにいる〝セックストレーナー〟みたいな人に連絡しないでくださいね。女性用風俗とかも沼ったら地獄だから駄目です」
「…………うん」
春日さんは目を丸くして頷き、エミリさんは深い溜め息をついてから続ける。
「そういうのの全部が悪いわけじゃないし、向いてる人は経験すればいいと思います。でも彼らはセックスを楽しむため、仕事でやってるのであって、春日さんの真剣な想いや、処女喪失の責任はとってくれないんです。なら、ちゃんと真剣にお付き合いできる人が現れるまで、焦らないほうが吉」
「……分かった」
春日さんはコクンと頷き、シャンパンを手酌する。
「……あと、思うんですけど、さっき聞いたホテルでの失敗談も含め、春日さん側の気持ちの問題もあるかもしれませんね」
私が指摘すると、彼女は「自覚はある……」と溜め息をついた。
「完璧主義じゃないです? 『初めてのエッチで失敗したら、格好悪い。笑われるかも』って怯えてないですか?」
そう言うと、春日さんはしんみりとした顔で頷いた。
「確かにそうかも。仕事では舐められたら終わりだから、仕事内容も見た目も、パーフェクトを心がけてる。…………そんな私が、全裸になって恥ずかしい所を晒して、男の人に犯されて『あんあん』言うとか抵抗があるのよ。そんな弱いところ見せたくない」
きっと、これが春日さんの本音なんだろう。
「……強い女であろうとした弊害ですね」
よしよしと彼女の頭を撫でると、春日さんは私に抱きついてくる。
エミリさんはサラミを囓って少し何か考えていたけれど、ビールの缶を開けてゴッゴッゴッ……と飲んでから言った。
「私も朱里さんも、まだ結婚してないし、偉そうに言える立場じゃないです。でも結婚するって、相手に格好悪い所を見せなきゃいけないんですよ。寝起きのノーメイクで頭ボサボサの姿を見せないとならないし、同じトイレも使う。自分のも彼のも、下着を洗濯しないとならない。子供がほしいならセックスするのは必須。裸を見せたら心許ないし、秘部を見せたら恥ずかしいのは当たり前。……でも、春日さんの裏も表も全部見せても、絶対に動じずに何があっても味方でいてくれる人が、旦那さんになるんですよ」
春日さんは溜め息をつき、私から離れて膝を抱える。
「私、こないだ尊さんの前でおならしちゃったんですけど、『フローラルだな』って言われて笑いました」
「「ぶはっ!」」
しんみりしていたところでおならの話をしたら、二人とも手を打ち鳴らして笑ってくれた。
「恥ずかしくて嫌がったら、『もっと嗅がせてくれ』って言ってくるんですよ? 変態ですよあの男は」
私が恥ずかしがらないようにふざけてくれたのは分かってるけど、あの時は笑いすぎてお腹が痛くなって大変だった。
「でもいつかは、おならしても恥ずかしがらない、ナチュラルな関係になれたらいいな、って思います。当分は乙女の恥じらいを持っていたいですけど」
「確かに!」
エミリさんが深く頷く。
「そんな感じなので、あんまりプライドを高く持ちすぎると、自分の幸せの妨げになってしまうと思います。……その辺、がんば!」
ぐっと両手を小さく握ると、春日さんはうんうんと何度も頷いた。
「パイセンたちの話、ためになるわぁ~……。もうちょっと頑張ってみようかな」
彼女はビールの缶を開け、ゴッゴッゴッゴッ……と飲んでいく。
「さっき、途中でお祖父様の話になってしまいましたけど、エミリさんは風磨さんとどうなんですか?」
もう一度聞き直すと、エミリさんは「せっかく話が逸れたのに……」と残念がる。
「うちんトコは特筆するような事はないわよ? 付き合いが長いから、もうお互い慣れちゃってるのよね」
「エミリさんが主導権を握ってるんですか?」
尋ねると、彼女はカマンベールチーズを一切れ口に入れ、モグモグしながら答える。
「「いやいやいや!」」
春日さんの言葉を聞き、私とエミリさんは同時に突っ込んだ。
「経験豊富な人は逆に不安になるし、『過去の女と比べられてるかも』って不安になるからやめとけ! そしてそういうタイプは一人の女で満足できずに、浮気しやすいイメージがあるからオススメしない。逆に童貞でも経験人数が少なくても、きちんと育てたら理想の男になる!」
エミリさんがまじめな顔で忠告し、私もうんうんと頷いて続ける。
「今言ったみたいに、肝心なのは相手の事を考えられるかどうかと、女性が相手を不快にせず自分の意見を言えるかなんです。どれだけ経験人数が多くても、独りよがりなセックスをしているなら意味がないです。あと、お願いだから、練習だと思ってSNSにいる〝セックストレーナー〟みたいな人に連絡しないでくださいね。女性用風俗とかも沼ったら地獄だから駄目です」
「…………うん」
春日さんは目を丸くして頷き、エミリさんは深い溜め息をついてから続ける。
「そういうのの全部が悪いわけじゃないし、向いてる人は経験すればいいと思います。でも彼らはセックスを楽しむため、仕事でやってるのであって、春日さんの真剣な想いや、処女喪失の責任はとってくれないんです。なら、ちゃんと真剣にお付き合いできる人が現れるまで、焦らないほうが吉」
「……分かった」
春日さんはコクンと頷き、シャンパンを手酌する。
「……あと、思うんですけど、さっき聞いたホテルでの失敗談も含め、春日さん側の気持ちの問題もあるかもしれませんね」
私が指摘すると、彼女は「自覚はある……」と溜め息をついた。
「完璧主義じゃないです? 『初めてのエッチで失敗したら、格好悪い。笑われるかも』って怯えてないですか?」
そう言うと、春日さんはしんみりとした顔で頷いた。
「確かにそうかも。仕事では舐められたら終わりだから、仕事内容も見た目も、パーフェクトを心がけてる。…………そんな私が、全裸になって恥ずかしい所を晒して、男の人に犯されて『あんあん』言うとか抵抗があるのよ。そんな弱いところ見せたくない」
きっと、これが春日さんの本音なんだろう。
「……強い女であろうとした弊害ですね」
よしよしと彼女の頭を撫でると、春日さんは私に抱きついてくる。
エミリさんはサラミを囓って少し何か考えていたけれど、ビールの缶を開けてゴッゴッゴッ……と飲んでから言った。
「私も朱里さんも、まだ結婚してないし、偉そうに言える立場じゃないです。でも結婚するって、相手に格好悪い所を見せなきゃいけないんですよ。寝起きのノーメイクで頭ボサボサの姿を見せないとならないし、同じトイレも使う。自分のも彼のも、下着を洗濯しないとならない。子供がほしいならセックスするのは必須。裸を見せたら心許ないし、秘部を見せたら恥ずかしいのは当たり前。……でも、春日さんの裏も表も全部見せても、絶対に動じずに何があっても味方でいてくれる人が、旦那さんになるんですよ」
春日さんは溜め息をつき、私から離れて膝を抱える。
「私、こないだ尊さんの前でおならしちゃったんですけど、『フローラルだな』って言われて笑いました」
「「ぶはっ!」」
しんみりしていたところでおならの話をしたら、二人とも手を打ち鳴らして笑ってくれた。
「恥ずかしくて嫌がったら、『もっと嗅がせてくれ』って言ってくるんですよ? 変態ですよあの男は」
私が恥ずかしがらないようにふざけてくれたのは分かってるけど、あの時は笑いすぎてお腹が痛くなって大変だった。
「でもいつかは、おならしても恥ずかしがらない、ナチュラルな関係になれたらいいな、って思います。当分は乙女の恥じらいを持っていたいですけど」
「確かに!」
エミリさんが深く頷く。
「そんな感じなので、あんまりプライドを高く持ちすぎると、自分の幸せの妨げになってしまうと思います。……その辺、がんば!」
ぐっと両手を小さく握ると、春日さんはうんうんと何度も頷いた。
「パイセンたちの話、ためになるわぁ~……。もうちょっと頑張ってみようかな」
彼女はビールの缶を開け、ゴッゴッゴッゴッ……と飲んでいく。
「さっき、途中でお祖父様の話になってしまいましたけど、エミリさんは風磨さんとどうなんですか?」
もう一度聞き直すと、エミリさんは「せっかく話が逸れたのに……」と残念がる。
「うちんトコは特筆するような事はないわよ? 付き合いが長いから、もうお互い慣れちゃってるのよね」
「エミリさんが主導権を握ってるんですか?」
尋ねると、彼女はカマンベールチーズを一切れ口に入れ、モグモグしながら答える。