部長と私の秘め事
 ラビティーホテルに連泊する場合、チェックアウト日のお昼まで荷物を預ければ、その日のチェックイン時間には、次に宿泊するホテルに荷物を無料で届けてくれるらしい。

 ホテル代金は尊さんが事前にカードで支払ったらしく、レストランの飲み物など別料金も、彼がスマホを弄って清算していた。

「じゃあ、恵ちゃんは俺の車でね」

 駐車場に入ると涼さんが恵の手を握り、彼女は「わっ、わっ」と動揺している。ソー、プリティ。

「恵、またね~!」

 私は手を振って二人と別れ、ルンルンして尊さんの車に乗った。

「あの二人、いい感じですね」

「だな。涼、結構グイグイいってるけど、中村さん大丈夫だといいけど……」

 尊さんは車を発進させ、徐行で運転していく。

「大丈夫だと思いますよ。確かに男性慣れしてないですが、嫌だったらハッキリ言いますから。今までもナンパされた事はありましたが、塩対応通り越して剥き出しの岩塩みたいな対応でした。それ以前に大体無視してますし。……だから乙女な恵って初めて見たんですが、あれは脈ありですね。私は知っている……」

 むふふ、と笑うと尊さんも微笑む。

「俺も涼に春が訪れて嬉しいよ。大人しく見守ろうな」

「はい!」

 シーにあるホテル、ミラマーレはイタリア語で『海を眺める』という意味だ。

 今まで泊まっていたラビティーランドホテルからは車で十分も掛からない……、のだけれど、この辺りは激混みゾーンなので、予定より少し遅くホテルに着いた。

 緩い坂道を上がっていくとミラマーレの白い外観が見え、円形のロータリーを左側に進み、ホテル前に着く。

 ……のだけれど、そのままスルーして駐車場へ向かう。

 両側に三角形になるよう綺麗に刈り込まれた木が並ぶなか進み、左折すると屋根付きの屋外駐車場が左右にある……けれどびっしりだ。

 その奥に屋内駐車場があり、一方通行で徐行していって、なんとか駐車できた。

 駐車場にあるエレベーター前で待っていると、涼さんと恵と合流できた。

 エレベーターに乗って地上階に進むとホテルのエントランス前に着くので、テクテク歩いて行く。

 ミラマーレはアルファベットのH型をしていて、真ん中の棒のところがシーのメインエントランスになっているトスカーナ・ウィンド、Hの下半分はゲート側を向き、上半分は目の前に広がる海、ポルト・ヴィータ(人生の港)・ウィンド、右側は駐車場側、左側はヴェネツィア・ウィンドになっている。

 裏技としてH型の上半分内部右手に、ホテル内部からシーに入場できる通路があるけれど、基本的にそこは入園時間から一時間経ってから利用できるそうだ。

 現在の時刻は八時で、GW期間中はもうオープンしているし、ホテル宿泊の特典、ラッキーエントリーを使って十五分早く入園できる。

 なので正攻法で正面エントランスから入る事にした。

 尊さんはすでに、抜け目なくプレミアパスを取得していて、ショップで買い物する際の整理券、レストランの予約もしてくれている。

 なのでその時間に合わせて行動しないとだけれど、頑張らなければ。

 メインどころは押さえないと、という事で、初っぱなからフリーフォールが楽しめる、『タワー・オブ・フィアー』に行き、恵の希望でウミガメと話すやつを見に行き、今度はボートに乗って急流を楽しむアトラクションに向かう。

 そのあと『インディー・ジョーンズ』の映画のアトラクションに行き、、ジェットコースターにも乗る。

 人魚姫アリエラの世界観を楽しんだあと、シーの中を船で移動して、またホテル前に戻った。

 それから予約していたレストラン『マゼラン』でフレンチのコースを食べ、ゴンドラに乗って少しゆっくりしたあと、映画『海底二万マイル』をイメージしたアトラクションと、『センター・オブ・ジ・アース』を楽しむ。

 勿論、それぞれのアトラクションの近くにあるショップで、グッズを見るのも忘れていない。

 それからアラビアンゾーンに行き、新エリアに行って、ラプンツェルやピーターパン、雪の女王のアトラクションを楽しんだ。

 夕ご飯は『タワー・オブ・フィアー』の近くにある大きな船のレストランに行って、大きなお肉をモリモリ食べる。

 最後にホテルに戻ったあとは、記念品としてホテルオリジナルのメダルを百円で作ってもらった。

 そしてホテル内にある『ミケランジェロ・ギフト』でお土産を買いまくり、サロンでチェックインをする傍ら、諸々のドリンクやおつまみを楽しむ。

 夜になるにつれ、恵の様子がおかしくなっているけれど、大丈夫だろうか……。

「……疲れた……」

 心身共にグッタリした恵が呟いたので背中をさすってあげると、涼さんがニッコリ笑う。

「あとでフットマッサージしてあげようか」

「いっ、いいです!」

 おやおやぁ……?

 ニチャア……と笑うと、恵に肘で小突かれた。
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