部長と私の秘め事
「恵ちゃんの言う通り、俺たちはまだ出会ったばかりだ。直感で『恵ちゃんなら大丈夫』と信じているけれど、実際に話したり、一緒に出かけたりしないと分からない事って多くあると思う。……会って一回目で突っ走りすぎてしまったけど、これからデートを重ねてお互いを知っていこう」
「はい」
彼の言う通り、初対面なのにこんなに受け入れてしまった人は初めてだ。
いや、むしろキスを許したのも抱き締めたのも、何もかも初めてすぎる。
だからこそ、残念な終わりを迎えないために、焦らず丁寧に知っていく事が大切だ。
涼さんはムクリと起き上がるとソファの上に胡座をかき、私に向かって悪戯っぽく笑いかける。
「恵ちゃんは困るかもしれないけど、俺は気に入った相手ができると何かと贈り物をしがちだ。……それは許してくれる?」
これから外商が来る事を思いだした私は、「ああ……」と溜め息をついて自分も起きる。
そして彼同様に胡座をかき、乱れた髪を撫でつけてから溜め息混じりに言った。
「涼さんのお金なので、私が口出しするのは違います。私が『無駄遣いは駄目』と言っても、さっき言ったように涼さんにとっては大した金額じゃないかもしれないし、お給料をどれぐらいもらってるのか分かりませんが、収入もあるんでしょうし、買う買わないって個人が決定する事ですから」
理解を示すと、涼さんはスマホを出してトントンとタップしたあと、画面を見せてきた。
「え……?」
銀行口座らしい画面には、信じられないぐらい数字が並んでいる。
失礼だという事を失念して「一、十……」と数えていき、百億の単位まで数えて目が点になった。
「これがメインの証券口座の資産で、別の証券口座、現金口座も複数ある。……とりあえず安心できた?」
多すぎる金額を見て急にビビってしまった私は、モソモソと四つん這いで移動し始める。
「こら、逃げないの」
「ふぎゃっ」
すると涼さんが私の腰を掴んで引き寄せたので、くすぐったさも相まって変な声を漏らしてしまった。
涼さんはまた乱れた私の髪を整え、泣きそうな顔をしている私を見てクスクス笑う。
「税金はがっぽり取られるけど、収入や資産は安定して増えてるし、路頭に迷う事はないと思う。このマンションもローンはないし、他の都市や別荘地にもローンなしの家はある。……あと、マンションや土地を買って賃貸をしての収入もあるし、他にも何やかやね。……だから恵ちゃんのためにハイブランドのウエディングドレスや指輪を買っても、全然平気」
「わあ……、怖い」
ドン引きすると、涼さんはおかしそうに笑う。
「ここ、喜ぶとこだろ? こんなに嫌そうな顔する女の子って、本当に初めてだ」
それから彼は私を後ろからギュッと抱き締め、吐息混じりに言う。
「あぁ、恵ちゃんはどんな話をしても新鮮だな。本当に可愛い。絶対に手放したくない。……嫌われないように気をつけるから、宜しくね」
その言葉を聞き、私は少し冷や汗を掻く。
「……あの、あまりヤンデレ化しないように」
釘を刺すと、私の顔を覗き込んだ涼さんはニヤッと笑った。
「俺がここまで入れ込むのは恵ちゃんが初めてだよ。本気になったらどうなるか、自分でもまだ分からない。……だから、あまり嫉妬させないでね」
チュッと頬にキスをされた私は、とんでもない獣に気に入られた心地になり、タラタラと冷や汗を掻きつつ「……はい」と頷いたのだった。
そのあと、百貨店の外商が沢山の商品を持ってマンションを訪れたけれど、お店の人なのに立派な花束と、高級お菓子の詰め合わせを渡してきたので驚いた。
まともに買えば一万円以上しそうな立派な花束に、私なら滅多な事がない限り買わない、デパ地下の高級お菓子。
それらをただの手土産として持ってくるのだから、外商にとって涼さんがどれだけ重要な人なのか分かる。
(……そんな人に選ばれた私って……)
目の前では外商スタッフの人たちが、五十畳近くあるリビングダイニングに〝お店〟を開こうと、商品を広げている。
ハンガーに掛けられた服はラックに吊されているけれど、キャスターつきのそれが床を傷つけないように、敷物を敷くところからスタートだ。
「……あ、あの……。手伝わなくていいんですか?」
ソファに座っている私たちは、彼らが手早くセッティングしているのを見ているだけなんだけど、ソワソワして仕方がない。
人にやってもらって当然という感覚がないので、人が働いているのに自分が休んでいるのが落ち着かない。
「恵ちゃんの考えている事は分かるけど、人の仕事をとったら駄目だよ。これは彼らの仕事だし、大切な顧客に仕事を手伝わせたなんて言ったら、彼らの恥になる」
そう言われ、私はコクンと頷いた。
「はい」
彼の言う通り、初対面なのにこんなに受け入れてしまった人は初めてだ。
いや、むしろキスを許したのも抱き締めたのも、何もかも初めてすぎる。
だからこそ、残念な終わりを迎えないために、焦らず丁寧に知っていく事が大切だ。
涼さんはムクリと起き上がるとソファの上に胡座をかき、私に向かって悪戯っぽく笑いかける。
「恵ちゃんは困るかもしれないけど、俺は気に入った相手ができると何かと贈り物をしがちだ。……それは許してくれる?」
これから外商が来る事を思いだした私は、「ああ……」と溜め息をついて自分も起きる。
そして彼同様に胡座をかき、乱れた髪を撫でつけてから溜め息混じりに言った。
「涼さんのお金なので、私が口出しするのは違います。私が『無駄遣いは駄目』と言っても、さっき言ったように涼さんにとっては大した金額じゃないかもしれないし、お給料をどれぐらいもらってるのか分かりませんが、収入もあるんでしょうし、買う買わないって個人が決定する事ですから」
理解を示すと、涼さんはスマホを出してトントンとタップしたあと、画面を見せてきた。
「え……?」
銀行口座らしい画面には、信じられないぐらい数字が並んでいる。
失礼だという事を失念して「一、十……」と数えていき、百億の単位まで数えて目が点になった。
「これがメインの証券口座の資産で、別の証券口座、現金口座も複数ある。……とりあえず安心できた?」
多すぎる金額を見て急にビビってしまった私は、モソモソと四つん這いで移動し始める。
「こら、逃げないの」
「ふぎゃっ」
すると涼さんが私の腰を掴んで引き寄せたので、くすぐったさも相まって変な声を漏らしてしまった。
涼さんはまた乱れた私の髪を整え、泣きそうな顔をしている私を見てクスクス笑う。
「税金はがっぽり取られるけど、収入や資産は安定して増えてるし、路頭に迷う事はないと思う。このマンションもローンはないし、他の都市や別荘地にもローンなしの家はある。……あと、マンションや土地を買って賃貸をしての収入もあるし、他にも何やかやね。……だから恵ちゃんのためにハイブランドのウエディングドレスや指輪を買っても、全然平気」
「わあ……、怖い」
ドン引きすると、涼さんはおかしそうに笑う。
「ここ、喜ぶとこだろ? こんなに嫌そうな顔する女の子って、本当に初めてだ」
それから彼は私を後ろからギュッと抱き締め、吐息混じりに言う。
「あぁ、恵ちゃんはどんな話をしても新鮮だな。本当に可愛い。絶対に手放したくない。……嫌われないように気をつけるから、宜しくね」
その言葉を聞き、私は少し冷や汗を掻く。
「……あの、あまりヤンデレ化しないように」
釘を刺すと、私の顔を覗き込んだ涼さんはニヤッと笑った。
「俺がここまで入れ込むのは恵ちゃんが初めてだよ。本気になったらどうなるか、自分でもまだ分からない。……だから、あまり嫉妬させないでね」
チュッと頬にキスをされた私は、とんでもない獣に気に入られた心地になり、タラタラと冷や汗を掻きつつ「……はい」と頷いたのだった。
そのあと、百貨店の外商が沢山の商品を持ってマンションを訪れたけれど、お店の人なのに立派な花束と、高級お菓子の詰め合わせを渡してきたので驚いた。
まともに買えば一万円以上しそうな立派な花束に、私なら滅多な事がない限り買わない、デパ地下の高級お菓子。
それらをただの手土産として持ってくるのだから、外商にとって涼さんがどれだけ重要な人なのか分かる。
(……そんな人に選ばれた私って……)
目の前では外商スタッフの人たちが、五十畳近くあるリビングダイニングに〝お店〟を開こうと、商品を広げている。
ハンガーに掛けられた服はラックに吊されているけれど、キャスターつきのそれが床を傷つけないように、敷物を敷くところからスタートだ。
「……あ、あの……。手伝わなくていいんですか?」
ソファに座っている私たちは、彼らが手早くセッティングしているのを見ているだけなんだけど、ソワソワして仕方がない。
人にやってもらって当然という感覚がないので、人が働いているのに自分が休んでいるのが落ち着かない。
「恵ちゃんの考えている事は分かるけど、人の仕事をとったら駄目だよ。これは彼らの仕事だし、大切な顧客に仕事を手伝わせたなんて言ったら、彼らの恥になる」
そう言われ、私はコクンと頷いた。