部長と私の秘め事
【同棲したいって言ってる。ご家族にも会わせたいって。……信じていいのかな?】
いつになく弱気なメッセージを送ると、朱里はキャラクターがゴリマッチョになったスタンプを送ってきた。
この子はちょいちょい、スタンプのチョイスが変だ。
【親友の尊さんの太鼓判だよ。絶対大丈夫。慣れてないから怖いと思うけど、飛び込んでみようよ。私も尊さんは二人目の彼氏で、最初は本当に愛してくれるか分からなくて不安だったけど、とてもいい人だし好きになってもらえてラッキーだった】
朱里は一生懸命自分の気持ちを伝えてくれる。
【恵はとってもいい子だよ。性格が良くて友達想いで、裏表がなくて信じられる。涼さん、ランドでも恵を気に入ってたでしょ? 尊さんも『珍しい』って言ってたし、大丈夫だよ。涼さんは嫌なセレブじゃないし、絶対に裏切らない。もしもの事があっても、酷く傷つける事はしないって思ってる】
朱里の見解は、私とほぼ同じだ。
分かっていたけれど、背中を押してもらいたかったのかもしれない。
【……うん。ありがとう。信じてみようと思う】
そう送ると、朱里は立て続けにキャラクターがハートマークを飛ばしているスタンプや、【ファイト!】と力こぶを作るスタンプを送ってきた。
私も【がんばります】というスタンプを送り、一旦会話を終わりにする。
(……あ。Eカップになったって報告するの忘れてた。……あとでいっか)
私はスマホを置き、涼さんが戻ってくるまでソファの上で膝を抱え、ぼんやりと夜景を見ていた。
「お待たせ」
ボーッとしていると涼さんの声が聞こえ、私はピクッと肩を跳ねさせて振り向く。
ドライヤーの音も聞こえていたはずなのに、どうやら思考に没頭していたようだ。
「……お、お帰りなさい」
おずおずと言うと、涼さんはクシャッと笑って「こういうの、いいね」と言った。
そのあと、彼は小首を傾げて微笑み尋ねてきた。
「一緒に寝ても大丈夫そう?」
「……はい」
その問いに、私は顔を真っ赤にして頷いた。
「けーいちゃん」
涼さんは嬉しそうに私の名前を呼び、ゆっくり近づいてくる。
けれど足を止め、ポケットからスマホを出すと私に向けた。
「その、ちんまりと体育座りしている姿が可愛いね。写真撮ってもいい?」
「え。……ど、どうぞ……」
まさか体育座りを褒められるとは思わなかった。
「ピースとかしたほうがいいですか?」
「あっ、ピースいいね。可愛いね」
なんだか、どんどん涼さんが運動会に来たお父さんに見えてきた。
私は運動帽を被った気持ちになり、少し照れながらピースをする。
カシャッと音がしたあと、私はハッとして尋ねた。
「あの、涼さん、SNSアカウントとかあるんですか?」
「いや? ほぼしてない」
「ほぼとは」
「家族と限られた友達だけがフォロワーの、写真を見せる用鍵アカウント。自慢とかじゃなくて、俺、海外に行ったら連絡しなくなって心配させるから、SNSに写真ぐらい載せろって言われて、専用のアカウントを作ったんだ」
「はぁー……」
そう言われると涼さんらしい。
「見てみる?」
「はい」
返事をすると、涼さんはスタスタ近づいてきて、私が座っているリクライニングソファの肘掛けに腰かけた。
(わっ)
急に距離が近くなってドキッとするも、彼はスマホを操作してSNSの画面を出し、「どうぞ」と手渡してきた。
(わ……、いい匂いする……)
涼さんからは私が使ったのと違うボディソープの香りがし、ついクンクンしてしまいそうになり、内心で「犬じゃないんだから!」と突っ込みを入れる。
涼さんの写真アカウントは、さすが世界中行っているだけあって、多国籍に溢れている。
珍しい食べ物や広々とした大地、色んな人種の人と笑顔で映っている写真もあった。
(こうやって見ると、御曹司っていうより世界を知っている人っていう感じだな)
そう思うと、彼を見る目が変わった。
いつになく弱気なメッセージを送ると、朱里はキャラクターがゴリマッチョになったスタンプを送ってきた。
この子はちょいちょい、スタンプのチョイスが変だ。
【親友の尊さんの太鼓判だよ。絶対大丈夫。慣れてないから怖いと思うけど、飛び込んでみようよ。私も尊さんは二人目の彼氏で、最初は本当に愛してくれるか分からなくて不安だったけど、とてもいい人だし好きになってもらえてラッキーだった】
朱里は一生懸命自分の気持ちを伝えてくれる。
【恵はとってもいい子だよ。性格が良くて友達想いで、裏表がなくて信じられる。涼さん、ランドでも恵を気に入ってたでしょ? 尊さんも『珍しい』って言ってたし、大丈夫だよ。涼さんは嫌なセレブじゃないし、絶対に裏切らない。もしもの事があっても、酷く傷つける事はしないって思ってる】
朱里の見解は、私とほぼ同じだ。
分かっていたけれど、背中を押してもらいたかったのかもしれない。
【……うん。ありがとう。信じてみようと思う】
そう送ると、朱里は立て続けにキャラクターがハートマークを飛ばしているスタンプや、【ファイト!】と力こぶを作るスタンプを送ってきた。
私も【がんばります】というスタンプを送り、一旦会話を終わりにする。
(……あ。Eカップになったって報告するの忘れてた。……あとでいっか)
私はスマホを置き、涼さんが戻ってくるまでソファの上で膝を抱え、ぼんやりと夜景を見ていた。
「お待たせ」
ボーッとしていると涼さんの声が聞こえ、私はピクッと肩を跳ねさせて振り向く。
ドライヤーの音も聞こえていたはずなのに、どうやら思考に没頭していたようだ。
「……お、お帰りなさい」
おずおずと言うと、涼さんはクシャッと笑って「こういうの、いいね」と言った。
そのあと、彼は小首を傾げて微笑み尋ねてきた。
「一緒に寝ても大丈夫そう?」
「……はい」
その問いに、私は顔を真っ赤にして頷いた。
「けーいちゃん」
涼さんは嬉しそうに私の名前を呼び、ゆっくり近づいてくる。
けれど足を止め、ポケットからスマホを出すと私に向けた。
「その、ちんまりと体育座りしている姿が可愛いね。写真撮ってもいい?」
「え。……ど、どうぞ……」
まさか体育座りを褒められるとは思わなかった。
「ピースとかしたほうがいいですか?」
「あっ、ピースいいね。可愛いね」
なんだか、どんどん涼さんが運動会に来たお父さんに見えてきた。
私は運動帽を被った気持ちになり、少し照れながらピースをする。
カシャッと音がしたあと、私はハッとして尋ねた。
「あの、涼さん、SNSアカウントとかあるんですか?」
「いや? ほぼしてない」
「ほぼとは」
「家族と限られた友達だけがフォロワーの、写真を見せる用鍵アカウント。自慢とかじゃなくて、俺、海外に行ったら連絡しなくなって心配させるから、SNSに写真ぐらい載せろって言われて、専用のアカウントを作ったんだ」
「はぁー……」
そう言われると涼さんらしい。
「見てみる?」
「はい」
返事をすると、涼さんはスタスタ近づいてきて、私が座っているリクライニングソファの肘掛けに腰かけた。
(わっ)
急に距離が近くなってドキッとするも、彼はスマホを操作してSNSの画面を出し、「どうぞ」と手渡してきた。
(わ……、いい匂いする……)
涼さんからは私が使ったのと違うボディソープの香りがし、ついクンクンしてしまいそうになり、内心で「犬じゃないんだから!」と突っ込みを入れる。
涼さんの写真アカウントは、さすが世界中行っているだけあって、多国籍に溢れている。
珍しい食べ物や広々とした大地、色んな人種の人と笑顔で映っている写真もあった。
(こうやって見ると、御曹司っていうより世界を知っている人っていう感じだな)
そう思うと、彼を見る目が変わった。