部長と私の秘め事
 西日暮里(にしにっぽり)にある賃貸マンションに帰ってシャワーを浴びていると、いきなり全裸の部長がバスルームに入ってきた。



「えっ!?」



 抵抗する間もなく、私は彼に抱き締められる。



 部長は熱の籠もった目で私を見つめると、自分を落ち着かせるように息を吐く。



 そのあと、壊れ物でも扱うように私の濡れた髪を撫で、「……駄目だ、我慢できねぇ」と呟き、唇を奪ってきた。



「ん……っ」



 私は突然のキスに戸惑いながらも、ピリッと体の奥に何かが伝わったのを感じた。



 多分、本能で「この人のキスが好き」と理解したのかもしれない。



 部長のキスは優しくて柔らかい。



 滑らかな舌に唇を舐められ、私は吐息をついて口を開く。



 すると、その隙間にとろりと舌が入り込み、唇の内側を舐められたかと思うと、優しくちゅっと吸われ、上唇と下唇を交互に吸われ、甘噛みされる。



 酸素を求めて口を開くと、部長の舌が口内に入り込んで掻き回した。



 舌で歯列をなぞられ、前歯の裏側を舌先でくすぐられた私は、甘ったれた声を漏らす。



 ――何これ。こんなキス、知らない。



 私は混乱したまま息継ぎし、ゴクッと口腔に溜まった唾液を嚥下する。



 突然のキスは嫌悪感を抱くどころか、もっとしてほしいと願うほどだ。



 部長は私の下唇を軽く噛みながら、背筋をスッと撫で下ろしてお尻の肉を揉んだ。



「ぅん……っ」



 大きな手でお尻を掴まれただけで、お腹の奥が甘く疼く。



 ――昭人はこんな事をしなかった。



 とっさにそう思うものの、部長の丁寧ながらどこか荒っぽい愛撫に、自分の体の奥にある雌の部分が被虐的に悦んでいた。



「キスなんて気持ちよくない」と思っていた常識は覆され、口の中が性感帯になってしまったのではないか、というほど敏感になっている。



 ――キス、気持ちいい……っ!



 気持ちよさがこみ上げ、お腹の奥がキュンキュンする。



 腰や尾てい骨の辺りをスリスリと撫でられているのもあり、あと少しで絶頂してしまいそう――、と思った時。



 部長は顔を離し、私を見て妖艶に笑う。



 かと思うと大きく口を開いて舌を出し、私の首筋をレロリと舐めてきた。



「ふあぁ……っ」



 舐められただけなのに、ゾクゾクして堪らない。



 そのまま部長は鎖骨まで舐め、私は脚をガクガク震わせて彼の腕にしがみつき「駄目」と哀願する。



「達きそうな顔して言うセリフか?」



 揶揄するように笑われるのがまた堪らない。



「そんな……」



 何か言い返そうとしたけれど、今度は艶やかな低い声が耳元で囁いてきた。



「……胸、大きいんだな。先端も綺麗な色だ」



「んーっ……」



 吐息が耳孔に掛かって、本当に達きそう……!



 彼は大きな手で私の胸を包んで弄んだあと、感度を試すように先端をなぞった。



「っあぁん……っ」



 昭人に触られた時は気持ちいいと思えなかった場所で快楽を得た私は、甘ったるい声を上げる。



 胸で快楽を得た事のない私は、胸からジンジンとした疼きが下腹部に伝わるのを感じ、切なさのあまり体を揺さぶる。



「感度がいいな。こうしたらどうだ?」



 そう言って部長は、先端のへこみを引っ掻いてきた。



 ムズムズとした気持ちよさに全身を支配された私は、部長に縋り付いたまま腰を揺らしてしまう。



 ――下もいじってほしい。



 浅ましく願っていたのが、通じてしまったのだろうか。



 部長の手がお腹から脇腹へと下り、お尻をシュルリと撫でてから、秘められた場所に至った時、私は耳まで真っ赤になる。

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