部長と私の秘め事
「……は……」

 彼の唇を堪能したあと、私は濡れた音を立てて唇を離す。

 そのあと照れくさくてもう一度尊さんを睨んでから、また唇を重ねた。

 尊さんはキスをしたまま、私のコートのボタンを外し、脱がせる。

 それに合わせて私も袖から腕を抜き、ボウタイブラウスのリボンをシュル……と引いた。

 何回も唇をついばみ合いながら、尊さんはさらに私のツイードジャケットを脱がし、マーメイドスカートのお尻を撫でてくる。

 彼はある程度お尻を堪能したあと、スカートのホックとファスナーを外してしまった。

 唇を離し、尊さんが微笑む。

「途中まで手伝ったから、あとはストリップの続きを頼む」

 煽るように言われ、私は頬を染めて立ち上がると、首元に掛かったままのリボンを外し、尊さんの首に掛ける。

 そして上目遣いに彼を見つめたまま、途中まで外していたブラウスのボタンを最後まで外した。

 ブラウスの下からは、下着とお揃いの赤いキャミソールが覗く。

 胸元に見事な刺繍で花が施された、お高い物だ。

 昭人と付き合っていた時も、ある程度下着には気を遣っていた。

 けれど尊さんに抱かれるようになってから、大人な彼に似合う自分になりたいという欲を持つようになり、下着もワンランク上の物にした。

 私はムードのあるジャズに合わせ、ゆっくりブラウスの袖から腕を抜き、見せつけるようにして脱いだ。

「いいね、すげぇそそる」

 尊さんは脚を組んだまま満足げに笑い、「それだけ?」というように小首を傾げた。

 ――その余裕、なくしてやる。

 悔しくなった私は、スカートのウエストベルトに手を掛け、後ろを向いた。

 恥ずかしい……、けど!

 上体を少し屈め、お尻を尊さんに突き出すようにして、脚をモジモジと擦り合わせる。

 そのまま彼の目の前でお尻を振りながら、ゆっくりマーメイドスカートを脱いだ。

 その下は、ガーターベルトとガーターストッキングだ。

 恥ずかしくて顔を真っ赤にさせた私は、涙目になって「どうだ!」と心の中で叫ぶ。

 と、その時――。

「きゃっ」

 尊さんは両手で私のお尻を包んで、サワサワと撫でてきた。

「やっ……」

 指先で触れるか触れないかのタッチで愛撫され、私はテーブルに手をついてゾクゾクと体を震わせる。

「どうせならTバックにすれば良かったのに」

 彼はそう言って、下着越しにフッと私の秘部に息を吹きかけてきた。

「は、恥ずかしくて……、無理……っ。モソモソしそうだし……」

 立とうとしたけれど、尊さんに腰を抱え込まれ、彼の膝の上に座ってしまう。

「柔らかくて気持ちいい……」

 後ろから抱き締めた尊さんは私の耳元で呟くと、下着越しに胸を揉み、剥き出しの肩にキスをしてきた。

「……お前、体熱いな。飲み過ぎてないか?」

 ドッドッドッ……と胸が高鳴っているのは、お酒だけのせいではない。

「子供体温なんです」

 照れ隠しにふざけると、私を抱き締めている尊さんが、無言で笑ったのが振動で分かった。

「俺がロリコンになるだろうが」

「見境なさそう」

 憎まれ口を叩くと、胸を揉まれた。

「ふざけんなよ。俺は昔から色気のある女にしか欲情しなかった。それにガキはこんな胸してないだろ」

 尊さんはチュッチュッと私の肩や首筋にキスをし、時おり甘噛みしてくる。

「……し、下着見るんでしょう?」

 そう言うと、尊さんは私を解放してくれた。

「……ど、どう……、ですか?」

 私は彼から少し距離をとり、お腹を引っ込めて胸を張る。

「今さら腹引っ込めるなよ。お前の腹の柔らかさは評価してるんだから」

「ギルティ!!」

 カーッと赤面した私は、尊さんに飛びかかってポカポカ殴る。

「っはは、怒るなよ。可愛いって。今日のために着てくれたんだな。すげぇ嬉しい」

 尊さんは私を抱き締め、ソファの上に押し倒し、魅惑的に笑ってからチュッとキスをしてきた。

「うぅ……」

 せめてもの抵抗で睨むと、尊さんはネクタイを緩めながら、捕食者のように私を見下ろして悠然と笑う。

 彼は悪い顔をして笑っていたけれど、不意に優しい表情になると、私の頭を撫でてきた。

「……今日は大丈夫か?」

 尋ねられて、前回は途中で終わってしまったのを思い出した。

「平気です。……先日はすみませんでした」

「気にすんなよ。死ぬ訳じゃねぇし」

 笑った尊さんは、ジャケットを脱いでソファの背もたれに掛ける。

「今日も、恐かったらすぐ言え。遠慮なんてするな」

「……はい」

 変なの。最初は酔ったところを半ば強引に抱かれた。

 反発を抱きながらも、押し流されてしまったけれど、恋人になったあとの尊さんは私を無理に抱こうとしない。

 それが少し不思議だった。

「あの、私をお持ち帰りした日」

「ああ」

 私は質問しながら、ゆっくり起き上がった。

 すると尊さんは、私の肩にジャケットを掛けてくれる。

 ……こういうさり気ない優しさが好きなんだよなぁ。

「今はこうして気遣ってくれますけど、あの時はほぼ無理矢理だったじゃないですか。……やっぱり今は、恋人になったから大切にしてくれてるんですか?」

 すぐに「そうだよ」と言われると思っていた。

 けど尊さんはすぐに返事をせず、黙ってリビングルームの中を見ている。

「え……、と。実はああいうシチュのほうが燃えるタチとか」

 その〝間〟を埋めるために思いついた事を言った時、ポンと頭に手を乗せられた。

 そのまま、ポンポンと撫でられる。

「ごめんな」

 謝られ、酷く悲しい気持ちになった。

「……どうして謝るんですか」

 尋ねると、尊さんは溜め息をついてゆっくり脚を組む。

 そして解いたネクタイを手元で弄びながら言った。

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