部長と私の秘め事
「……っ、意地悪……っ、やだっ。……私が気持ち良くなってるの、分かってるくせに、……意地悪するの、やだっ」

 涼さんは痛みを与えたのが理由ではないと知って安堵の息を漏らし、私の頭を撫でて額にキスをしてきた。

「ごめんね、意地悪だったね。……気持ち良くなってる途中で、意地悪な事を言われて、恥ずかしくなった?」

 尋ねられ、私はグスグスと泣きながらコクンと頷く。

「~~~~っ、どんどん、気持ちいい事を知ってしまって……っ、怖い……っ」

 私の泣き声を聞き、涼さんは大きく息を吸って真上を向いた。

 そして、ギュウッとさらに強く抱き締めてくる。

「……っ、私……っ、まだレベル一なのに、涼さんはレベル十ぐらいで、私、一杯一杯なのに、フェイントかけたり、からかったり……っ、~~~~っ、私、気持ちいいので全部なのにっ! 他の事考える余裕ないのにっ!」

 私は「うーっ!」とうなり、拳でドンドンと涼さんの胸板を叩く。

「……それで、恥ずかしさと照れくささがMAXになって、怒っちゃった?」

 纏められ、私はコクンと頷く。

「……っ、まだっ、私のレベルに合わせてほしい……っ。恥ずかしい事言われたら、頭の中真っ白になって、……っ、ただでさえ気持ち良くて逃げ出したくなるのに……っ、どうしたらいいか分からなくなる……っ」

 こんな自分が嫌で堪らない。

 せっかくムードを作ってくれてエッチできていたのに、初心者の自分には受け止められない言葉責めをされて、羞恥が限界を超えてしまった。

(きっと、今まで涼さんが付き合った女性は、こんな事でやめたりしないのに……っ)

 あまりに自分が未熟で、途中でやめてしまった事への申し訳なさもあり、涙が止まらない。

「ごめんね、恵ちゃん。……今日はもうやめたほうがいい?」

 尋ねられ、私は俯いたまま黙る。

 自分の都合でエッチを途中でやめて、ぶち壊しにしたまま寝るなんてできない。

 だから、小さく首を横に振った。

「ありがとう。……じゃあ、恵ちゃんのしたいやり方でエッチをしようか」

 提案され、私はスリップが暑くなってモソモソと脱ぎ始め、すぐ気づいた涼さんは、それを手伝ってくれた。

「……前からがいい。……後ろからは……、嫌じゃないけど恥ずかしい」

「ん、分かった」

 微笑んだ涼さんはチュッと私にキスをし、頭を撫でてくれる。

 そして私を優しく押し倒し、甘く笑って尋ねてきた。

「どうされるのが好き? 恵ちゃんの好きな事を全部する、スペシャルコースだよ」

 尋ねられ、セックスにおいて自分の〝好き〟を言うなんて恥ずかしいけれど、おずおずと望みを口にした。

「……優しいキスして、『可愛い』って言われるの……、好き」

「うん、恵ちゃんは可愛いから、何度でも言っちゃうね」

 涼さんは微笑み、ちゅ、ちゅ、と顔にキスの雨を降らせてくる。

「胸を触られるのは?」

 彼は尋ねながらやわやわと乳房を揉み始め、私の反応を窺ってくる。

「……強くしないなら好き」

「うん、分かった。舐めるのは?」

 そう言って、涼さんは乳房にチュッチュッとキスをし、胸の先端にしゃぶりついてきた。

「ん……っ、ん……。なんか……、変な気持ちになるけど、……嫌じゃない」

「ん、好きになっていけたらいいね。可愛いよ、恵ちゃんの胸」

 本当は「可愛い」と言われるのも恥ずかしいけれど、…………恥ずかしいけど、多分私は嬉しいんだと思う。

「……前と同じ事を言ってもいい?」

「何回でも聞くよ」

 涼さんは私の頭を撫でては、色んなところにキスをしてくる。

 その優しい唇の感触にフワフワとした心地よさを得ながら、私はポーッとしつつ話していく。

「……私、自分の事を『可愛い』なんて思った事がなくて。……でも、涼さんがこうやって『可愛い』って繰り返してくれると、少なくとも涼さんにとっては『可愛い』でいいのかな? って思えてきて。……まだ自分を肯定できずにいるけど、まだ、全然照れちゃうけど、……少しずつ向き合っていくから、……我慢強く付き合ってもらえたら……って思います」

「分かってるよ。大丈夫。俺はこう見えて根気強いほうだから」

 涼さんは優しく目を細め、「可愛いね」と私の頭を撫でてくる。

「……子供でごめんなさい。……きっと、涼さんが今まで付き合った女性なら、どんなプレイをしても、どんな体位でも楽しめたと思うのに……。私、ちょっと慣れない事があったら、すぐ心が一杯一杯になって、パンクしそうで……。心のキャパが狭くて嫌になる」

 謝ると、涼さんは窘めるようにキスをしてきた。

「そこで他の人と比べる必要はないし、恵ちゃんは恵ちゃんでいいんだよ。……俺はそのままの君が好きで、他の人と同じようになってほしいなんて、一ミリも思っていない」

 彼は私の髪を撫でつけ、優しいけれど真剣な目で見つめてくる。

「……未熟でごめんなさい」
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