部長と私の秘め事
「十七時になったら、ハッピーアワーになるけど、なんか食うか?」
「そもそも、ハッピーアワーってなんですか?」
「特定の時間に、アルコールも含めてちょっと割引で飲食を提供する事だよ。ホテルだけじゃなく、普通の飲食店でもやってる。大体、夕方から十九時ぐらいまでかな」
「へぇ~」
「どうする? 飯」
尊さんは答えが分かっている顔をしているけれど、あえて聞いてくれる。
「せっかくのお高級なホテルのハッピーアワーも気になるけど、一時間ぐらい寝て体力回復したあと、駅付近を歩いて広島らしい物を食べたいです」
「オッケ。そうくると思った」
尊さんはクシャッと笑い、「俺も少し休むか」と呟く。
彼は充電器や洗面用品などを出したあと、大きな荷物に纏めていたお菓子を、折り目がつかないようにスーツケースの中に入れておいた外袋に入れ直す。
大切なのは中身だけど、やっぱり人にあげる以上外袋も綺麗なほうがいいもんね。
そこをきちんとしようとする尊さんは、気遣いの人だ。
私もスマホの充電器を出したあと、室内を撮影し、広島市街を見下ろした角度でも写したあと、ベッドに寝転んだ。
いつもならキングサイズベッドに二人で寝るけれど、暑い季節だからか今回の部屋はツインベッドだ。
「何食べよっかなぁ~……」
私はゴロゴロしながらスマホを開く。
「とりあえず、お好み焼きいっとくか?」
「それっきゃない」
私は仰向けになったまま、ビシッと尊さんを指さす。
「事前に少し調べたけど、駅の近くにも勿論店があるけど、平和記念公園の中間ぐらいに、お好み村ってあるんだって」
「へえ……。私に侵略されるために、あるような村じゃないですか」
真顔で言ったからか、尊さんは「ぶふっ」と噴き出す。
「魔王アカリンが通ったあとは、麺一本残らない……」
「ふひひひひ」
「そこ、行ってみるか?」
「はい! 平和記念公園が近くにあるなら行ってみたいけど、もう夜ですしね……。昼間に行きたいからまた後日にでも」
宮本さんとは明日話す予定だ。
彼女は呉市に住んでいるらしいけど、私たちに合わせて広島市まで来てくれるそうだ。
話す時は宮本さん一人だけど、ご家族も一緒に来るらしい。
多分、旦那さんも彼女を心配しているだろうし、宮本さん自身も今の自分の家族を見せて「幸せだよ」って伝えたいんだと思う。
「じゃあ、ちょっと寝ます」
「ん、一応一時間でアラーム掛けておくな」
「あい」
そのあと私たちは黙ってベッドの上に横になり、夜みたいにすぐ眠たくならないけど、一時間ゆっくりする事によって、次の行動への気力、体力を回復させた。
**
広島市の中心部は八丁堀と言って広島駅からは少し離れているそうだ。
私たちは広島電鉄という路面電車に乗り、中心部に向かう。
途中で二つ橋を渡った時の川は猿猴川と京橋川というらしく、もともと一本の京橋川から二股に分かれた川らしい。
駅前には猿猴川がどんとあって大きな橋が架かっているので、地下にある通路を通って地上に出て歩く……なんてルートもあるみたいだ。
「道路、広いですね」
外を見てお上りさんみたいな感想を漏らしてしまったけれど、尊さんも広島市の街並みを物珍しそうに眺めている。
「そうだな」
やがて八丁堀駅まで着いた私たちは、路面電車から下りる。
「わぁ……、凄い」
東京にいても勿論高層ビルはあるけど、広い道路を囲むビルたちを見ると、旅行に来たぞという気持ちになってドキドキする。
「村はこっちらしい」
スマホのマップを見た尊さんは、横断歩道を渡って左手側に歩き始め、私は周囲をキョロキョロしながらついていく。
ビルの一階にヴィトンが入っている横はアーケードになっていて、そこを抜けるとパルコがある。
その側に、アーチの上にでかでかと〝お好み村〟と毛筆ロゴのネオンが光っている村の入り口があり、人々が大勢ひしめいていた。
提灯もズラッと高く並んでいて格好いい!
「そもそも、ハッピーアワーってなんですか?」
「特定の時間に、アルコールも含めてちょっと割引で飲食を提供する事だよ。ホテルだけじゃなく、普通の飲食店でもやってる。大体、夕方から十九時ぐらいまでかな」
「へぇ~」
「どうする? 飯」
尊さんは答えが分かっている顔をしているけれど、あえて聞いてくれる。
「せっかくのお高級なホテルのハッピーアワーも気になるけど、一時間ぐらい寝て体力回復したあと、駅付近を歩いて広島らしい物を食べたいです」
「オッケ。そうくると思った」
尊さんはクシャッと笑い、「俺も少し休むか」と呟く。
彼は充電器や洗面用品などを出したあと、大きな荷物に纏めていたお菓子を、折り目がつかないようにスーツケースの中に入れておいた外袋に入れ直す。
大切なのは中身だけど、やっぱり人にあげる以上外袋も綺麗なほうがいいもんね。
そこをきちんとしようとする尊さんは、気遣いの人だ。
私もスマホの充電器を出したあと、室内を撮影し、広島市街を見下ろした角度でも写したあと、ベッドに寝転んだ。
いつもならキングサイズベッドに二人で寝るけれど、暑い季節だからか今回の部屋はツインベッドだ。
「何食べよっかなぁ~……」
私はゴロゴロしながらスマホを開く。
「とりあえず、お好み焼きいっとくか?」
「それっきゃない」
私は仰向けになったまま、ビシッと尊さんを指さす。
「事前に少し調べたけど、駅の近くにも勿論店があるけど、平和記念公園の中間ぐらいに、お好み村ってあるんだって」
「へえ……。私に侵略されるために、あるような村じゃないですか」
真顔で言ったからか、尊さんは「ぶふっ」と噴き出す。
「魔王アカリンが通ったあとは、麺一本残らない……」
「ふひひひひ」
「そこ、行ってみるか?」
「はい! 平和記念公園が近くにあるなら行ってみたいけど、もう夜ですしね……。昼間に行きたいからまた後日にでも」
宮本さんとは明日話す予定だ。
彼女は呉市に住んでいるらしいけど、私たちに合わせて広島市まで来てくれるそうだ。
話す時は宮本さん一人だけど、ご家族も一緒に来るらしい。
多分、旦那さんも彼女を心配しているだろうし、宮本さん自身も今の自分の家族を見せて「幸せだよ」って伝えたいんだと思う。
「じゃあ、ちょっと寝ます」
「ん、一応一時間でアラーム掛けておくな」
「あい」
そのあと私たちは黙ってベッドの上に横になり、夜みたいにすぐ眠たくならないけど、一時間ゆっくりする事によって、次の行動への気力、体力を回復させた。
**
広島市の中心部は八丁堀と言って広島駅からは少し離れているそうだ。
私たちは広島電鉄という路面電車に乗り、中心部に向かう。
途中で二つ橋を渡った時の川は猿猴川と京橋川というらしく、もともと一本の京橋川から二股に分かれた川らしい。
駅前には猿猴川がどんとあって大きな橋が架かっているので、地下にある通路を通って地上に出て歩く……なんてルートもあるみたいだ。
「道路、広いですね」
外を見てお上りさんみたいな感想を漏らしてしまったけれど、尊さんも広島市の街並みを物珍しそうに眺めている。
「そうだな」
やがて八丁堀駅まで着いた私たちは、路面電車から下りる。
「わぁ……、凄い」
東京にいても勿論高層ビルはあるけど、広い道路を囲むビルたちを見ると、旅行に来たぞという気持ちになってドキドキする。
「村はこっちらしい」
スマホのマップを見た尊さんは、横断歩道を渡って左手側に歩き始め、私は周囲をキョロキョロしながらついていく。
ビルの一階にヴィトンが入っている横はアーケードになっていて、そこを抜けるとパルコがある。
その側に、アーチの上にでかでかと〝お好み村〟と毛筆ロゴのネオンが光っている村の入り口があり、人々が大勢ひしめいていた。
提灯もズラッと高く並んでいて格好いい!