部長と私の秘め事
「……私もずっと、凜さんを気にし続けてきました。……でももう解決したなら、私も自分に『もう嫉妬しなくていいよ』って言わないとですね。……想いを解放しないと」
自分に言い聞かせるように呟くと、尊さんにまたキスをされる。
「気にしてくれる気持ちは分かる。俺も田村に嫉妬してるから。……でも、過去の事ってどうしようもない。俺がいまだに夏目さんを想ってるなら『浮気者』って怒る権利はあるけど、それもない。スッパリと『なかった事にして前向きましょう』とはいかないかもしれないが、もう過去には別れを告げよう」
「……ですね」
「……あのさ、十一月の連休に、三泊四日で京都行かないか?」
「え?」
不意に提案され、私は暗闇の中で目を瞬かせる。
「今回、嫌な旅行だったとは言わないけど、目的が目的だろ? 今年の間にもう一箇所旅行に行って、いい気分になって年末を迎えよう。来年に入ったら結婚式の準備でバタバタするだろうし、遊ぶなら今のうちだ」
「そ、そうですね。母にも連絡しておかないと……」
「お義母さんはご実家に泊まると言っていたし、どこか思い出になるホテルを手配しておく。観光したい所、見繕っておいてくれ」
「はい!」
京都に行くと思うと、パッと気持ちが明るくなった。
「明日、色んな事は忘れて、まっさらな気持ちでお参りしよう。それで美味い物を食べて、たっぷりお土産を買って帰る。OK?」
「OKです!」
元気よく返事をした私は、ギューッと尊さんを抱き締めて「んふふ~」と笑う。
「なんだよ、甘えっ子」
「しゅき……」
「知ってるよ」
「最上級のしゅきぴすとですよ」
「俺なんてサンシャイン・エターナルラブだよ」
「ひひひひひ! 魔法少女ミコティ!」
「すね毛剃らないとな……」
「ツルツルじゃないですか。美ボディミコ」
「『世界で最も美しい脛100』に入るよう、努めております」
「ひひひひひ」
笑っていると、尊さんにギューッと抱き締められたあと、額にキスをされた。
「朱里が一番大好きだよ。こんなに愉快で可愛い女、他にいない」
そう言われ、今ならいつものように素直に受け入れられる気がした。
「尊さん、だーいすき」
「……なんか、エラ呼吸の小さな朱里を抱えて逃げなきゃいけない気がしてきた」
「んひひひひ……」
某アニメを思い出した私は、体をプルプル震わせて笑う。
「ずっと話してたいけど、そろそろ寝ないとな。明日、早いぞ」
「はぁい」
返事をした私は気持ちを切り替え、尊さんの手を握って目を閉じる。
きっともう大丈夫。
一つ乗り越えて私たちの絆はより深くなった。
自分に言い聞かせた私は、なるべく早く眠れるよう気持ちを落ち着かせた。
**
ピピピッ、ピピピッと音がし、私は「んぁ……」とうなって目を開ける。
昨晩は色々考え事をして、なかなか寝付けないと思っていたけれど、知らない間に寝ていたようだ。
「おはよ」
スマホのアラームを止めた尊さんは、ベッドの中で伸びをする。
「んー……、おはようございます……」
私も海老反りになって伸びをし、体を丸めてプルプルしたあと、大きく口を開けてあくびをする。
「……やっぱり猫っぽいな」
尊さんはニヤニヤ笑いながら、そんな私の姿を動画に収めている。
「やですよ、もう。乙女の寝起きを……」
「うちに帰ったらピアノ弾いてやるか? 『乙女の寝起き』って」
「やだもう。それ『乙女の祈り』じゃないですか。絶対変なアレンジするでしょ」
「ははは! バレたか」
尊さんは明るく笑ったあと、布団をはね除けて起き上がる。
「でも尊さんのピアノ、聴きたいな。コンクール優勝の実力者」
そう言うと、彼はTシャツを脱いだあと、少し含んだ目で私を見てくる。
自分に言い聞かせるように呟くと、尊さんにまたキスをされる。
「気にしてくれる気持ちは分かる。俺も田村に嫉妬してるから。……でも、過去の事ってどうしようもない。俺がいまだに夏目さんを想ってるなら『浮気者』って怒る権利はあるけど、それもない。スッパリと『なかった事にして前向きましょう』とはいかないかもしれないが、もう過去には別れを告げよう」
「……ですね」
「……あのさ、十一月の連休に、三泊四日で京都行かないか?」
「え?」
不意に提案され、私は暗闇の中で目を瞬かせる。
「今回、嫌な旅行だったとは言わないけど、目的が目的だろ? 今年の間にもう一箇所旅行に行って、いい気分になって年末を迎えよう。来年に入ったら結婚式の準備でバタバタするだろうし、遊ぶなら今のうちだ」
「そ、そうですね。母にも連絡しておかないと……」
「お義母さんはご実家に泊まると言っていたし、どこか思い出になるホテルを手配しておく。観光したい所、見繕っておいてくれ」
「はい!」
京都に行くと思うと、パッと気持ちが明るくなった。
「明日、色んな事は忘れて、まっさらな気持ちでお参りしよう。それで美味い物を食べて、たっぷりお土産を買って帰る。OK?」
「OKです!」
元気よく返事をした私は、ギューッと尊さんを抱き締めて「んふふ~」と笑う。
「なんだよ、甘えっ子」
「しゅき……」
「知ってるよ」
「最上級のしゅきぴすとですよ」
「俺なんてサンシャイン・エターナルラブだよ」
「ひひひひひ! 魔法少女ミコティ!」
「すね毛剃らないとな……」
「ツルツルじゃないですか。美ボディミコ」
「『世界で最も美しい脛100』に入るよう、努めております」
「ひひひひひ」
笑っていると、尊さんにギューッと抱き締められたあと、額にキスをされた。
「朱里が一番大好きだよ。こんなに愉快で可愛い女、他にいない」
そう言われ、今ならいつものように素直に受け入れられる気がした。
「尊さん、だーいすき」
「……なんか、エラ呼吸の小さな朱里を抱えて逃げなきゃいけない気がしてきた」
「んひひひひ……」
某アニメを思い出した私は、体をプルプル震わせて笑う。
「ずっと話してたいけど、そろそろ寝ないとな。明日、早いぞ」
「はぁい」
返事をした私は気持ちを切り替え、尊さんの手を握って目を閉じる。
きっともう大丈夫。
一つ乗り越えて私たちの絆はより深くなった。
自分に言い聞かせた私は、なるべく早く眠れるよう気持ちを落ち着かせた。
**
ピピピッ、ピピピッと音がし、私は「んぁ……」とうなって目を開ける。
昨晩は色々考え事をして、なかなか寝付けないと思っていたけれど、知らない間に寝ていたようだ。
「おはよ」
スマホのアラームを止めた尊さんは、ベッドの中で伸びをする。
「んー……、おはようございます……」
私も海老反りになって伸びをし、体を丸めてプルプルしたあと、大きく口を開けてあくびをする。
「……やっぱり猫っぽいな」
尊さんはニヤニヤ笑いながら、そんな私の姿を動画に収めている。
「やですよ、もう。乙女の寝起きを……」
「うちに帰ったらピアノ弾いてやるか? 『乙女の寝起き』って」
「やだもう。それ『乙女の祈り』じゃないですか。絶対変なアレンジするでしょ」
「ははは! バレたか」
尊さんは明るく笑ったあと、布団をはね除けて起き上がる。
「でも尊さんのピアノ、聴きたいな。コンクール優勝の実力者」
そう言うと、彼はTシャツを脱いだあと、少し含んだ目で私を見てくる。