部長と私の秘め事
「ここ、秋になると紅葉が素晴らしいみたいだ」
「へえ! 見てみたいですね。あの朱塗りの橋の所とか、写真映えしそう」
私たちは周囲の景色を見て感想を言いながらゆっくり歩いているけれど、公園の中には石階段もあるので、結構な運動になっている。
やがて公園の中をグイグイ登り、紅葉谷駅に着いた。
駅に入ってすぐ右手に券売所があり、正面にはロープウェイ乗り場に続く階段がある。
私が写真を撮っている間に尊さんが切符を買ってくれ、少し待ったあとに緑色のロープウェイに乗った。
「うわー! アガる!」
ロープウェイはぐんぐん上がって行き、背後を見ると瀬戸内海が望める。
「あっ、フェリー見える!」
「対岸の町も、結構高低差があるな」
そんな会話をしながら景色を楽しみ、十分ほどで中間地点の榧谷駅に着き、次の乗り継ぎロープウェイは、今までより大きめだ。
「うわおおおお……」
こちらはさらに高い所を上っているからか、遙か上から瀬戸内海を見る事ができる。
青い海の中に様々な形の島があり、中には栗みたいな形の島もあって可愛い。
四分の空中散歩を終えて駅に降り立つと、なんか……、天狗の伝説があるらしく、嘘をつきまくったピノキオみたいに、めっちゃ鼻の長い天狗の絵があった。
さらに上っていくと、獅子岩展望台に出て、ふうふう息を切らしながら上っていくと、絶景が待っていた!
「うわぁ……!」
展望台を囲む鉄柵には、その方向にある島の名前や説明が、木の看板に書かれてある。
青い海の向こうには白い街並みの広島市が見えるけれど、うっすら青みがかってる。
「レイリー散乱でしたっけ。青っぽくなってるの」
「そうそう。卵は産まないぞ」
「そこまでストマック脳じゃないですよ」
私はそんな話をしつつ、存分に写真を撮り、グルーッと動画を撮る。
驚いたのは、こんな山の上まで鹿がいる事だ。
「鹿、強いですね」
「強ぇな……」
私たちはボソッと言い合い、うん、と頷く。
ちなみに、展望台は割と岩の段差があったりで、足元注意だ。
ある程度満喫したあと、私たちは弥山から下山する事にした。
伊藤博文は『日本三景の真価は頂上の眺めにあり』と言っていたらしい。
展望台のさらに上には、空海が宮島で修行した時に焚いた護摩の火が千二百年も燃え続けている〝消えずの霊火堂〟があるらしい。
広島平和記念公園にある〝平和の灯火〟も、そこから採火され、お堂にある〝大茶釜の湯〟は万病に効く霊水と言われているとか。
本当は行きたい気持ちがあるけれど、本格的な登山をして、肝心の大鳥居を見に行けなくなったら本末転倒なので、断念する事にした。
「ふぁー、地上に到着!」
ロープウェイを降りた私は、妙な安心感を抱いてポンとジャンプし、体操選手みたいに両手をピッと上げる。
尊さんは腕時計を見て言う。
「フェリーを降りてから徒歩でロープウェイまで三十分ぐらい、そっから約十五分で展望台で……、だから、まぁまぁ一時間半ぐらい潰せたな」
「あとはゆっくりお店を見て、いい感じにこなれたストマックを満たすのです……」
「満ちる日はあるのかよ」
「満ち引きを繰り返す……、それが自然の摂理……。厳島神社だけに」
「上手い事言いやがって」
弥山には七不思議があるらしく、行きにも見たけれどロープウェイ乗り場の近くに看板があり、詳しく書かれてあった。
一つ目が先ほども触れた〝消えずの火〟で、二つ目は〝錫杖の梅〟という梅で、弘法大師が錫杖を立てかけるとそれが梅の木になってしまったものだという。
綺麗な紅梅を咲かせる木だけれど、山に不吉な兆しがあると咲かなくなると言われている。
三つ目は曼荼羅岩と呼ばれる巨大な岩で、弘法大師が書いたと言われる文字や、梵字、絵が刻まれているという。
四つ目は干満岩で、側面に水の入った小さな穴があり、山の上にあるというのに潮の満ち引きに応じて水位が変わるんだとか。
これは科学的な証明がされていないらしい。
五つ目は拍子木の音で、深夜にカチーン、カチーンと拍子木を打つ音が聞こえた時は、天狗がいるので家に閉じこもっていないと祟りがあると言われている。
六つ目はしぐれ桜で、晴れていても露があり、近くの地面は雨が降っていたように濡れている桜……だけれど、こちらは伐採されてしまった。
七つ目は龍燈の杉で、旧正月の夜になると宮島付近の海面に謎の光が現れ、それを龍燈と呼んでいるそうだ。
それがよく見える弥山山頂の杉があったけれど、それも枯れてしまっている。
「へえ! 見てみたいですね。あの朱塗りの橋の所とか、写真映えしそう」
私たちは周囲の景色を見て感想を言いながらゆっくり歩いているけれど、公園の中には石階段もあるので、結構な運動になっている。
やがて公園の中をグイグイ登り、紅葉谷駅に着いた。
駅に入ってすぐ右手に券売所があり、正面にはロープウェイ乗り場に続く階段がある。
私が写真を撮っている間に尊さんが切符を買ってくれ、少し待ったあとに緑色のロープウェイに乗った。
「うわー! アガる!」
ロープウェイはぐんぐん上がって行き、背後を見ると瀬戸内海が望める。
「あっ、フェリー見える!」
「対岸の町も、結構高低差があるな」
そんな会話をしながら景色を楽しみ、十分ほどで中間地点の榧谷駅に着き、次の乗り継ぎロープウェイは、今までより大きめだ。
「うわおおおお……」
こちらはさらに高い所を上っているからか、遙か上から瀬戸内海を見る事ができる。
青い海の中に様々な形の島があり、中には栗みたいな形の島もあって可愛い。
四分の空中散歩を終えて駅に降り立つと、なんか……、天狗の伝説があるらしく、嘘をつきまくったピノキオみたいに、めっちゃ鼻の長い天狗の絵があった。
さらに上っていくと、獅子岩展望台に出て、ふうふう息を切らしながら上っていくと、絶景が待っていた!
「うわぁ……!」
展望台を囲む鉄柵には、その方向にある島の名前や説明が、木の看板に書かれてある。
青い海の向こうには白い街並みの広島市が見えるけれど、うっすら青みがかってる。
「レイリー散乱でしたっけ。青っぽくなってるの」
「そうそう。卵は産まないぞ」
「そこまでストマック脳じゃないですよ」
私はそんな話をしつつ、存分に写真を撮り、グルーッと動画を撮る。
驚いたのは、こんな山の上まで鹿がいる事だ。
「鹿、強いですね」
「強ぇな……」
私たちはボソッと言い合い、うん、と頷く。
ちなみに、展望台は割と岩の段差があったりで、足元注意だ。
ある程度満喫したあと、私たちは弥山から下山する事にした。
伊藤博文は『日本三景の真価は頂上の眺めにあり』と言っていたらしい。
展望台のさらに上には、空海が宮島で修行した時に焚いた護摩の火が千二百年も燃え続けている〝消えずの霊火堂〟があるらしい。
広島平和記念公園にある〝平和の灯火〟も、そこから採火され、お堂にある〝大茶釜の湯〟は万病に効く霊水と言われているとか。
本当は行きたい気持ちがあるけれど、本格的な登山をして、肝心の大鳥居を見に行けなくなったら本末転倒なので、断念する事にした。
「ふぁー、地上に到着!」
ロープウェイを降りた私は、妙な安心感を抱いてポンとジャンプし、体操選手みたいに両手をピッと上げる。
尊さんは腕時計を見て言う。
「フェリーを降りてから徒歩でロープウェイまで三十分ぐらい、そっから約十五分で展望台で……、だから、まぁまぁ一時間半ぐらい潰せたな」
「あとはゆっくりお店を見て、いい感じにこなれたストマックを満たすのです……」
「満ちる日はあるのかよ」
「満ち引きを繰り返す……、それが自然の摂理……。厳島神社だけに」
「上手い事言いやがって」
弥山には七不思議があるらしく、行きにも見たけれどロープウェイ乗り場の近くに看板があり、詳しく書かれてあった。
一つ目が先ほども触れた〝消えずの火〟で、二つ目は〝錫杖の梅〟という梅で、弘法大師が錫杖を立てかけるとそれが梅の木になってしまったものだという。
綺麗な紅梅を咲かせる木だけれど、山に不吉な兆しがあると咲かなくなると言われている。
三つ目は曼荼羅岩と呼ばれる巨大な岩で、弘法大師が書いたと言われる文字や、梵字、絵が刻まれているという。
四つ目は干満岩で、側面に水の入った小さな穴があり、山の上にあるというのに潮の満ち引きに応じて水位が変わるんだとか。
これは科学的な証明がされていないらしい。
五つ目は拍子木の音で、深夜にカチーン、カチーンと拍子木を打つ音が聞こえた時は、天狗がいるので家に閉じこもっていないと祟りがあると言われている。
六つ目はしぐれ桜で、晴れていても露があり、近くの地面は雨が降っていたように濡れている桜……だけれど、こちらは伐採されてしまった。
七つ目は龍燈の杉で、旧正月の夜になると宮島付近の海面に謎の光が現れ、それを龍燈と呼んでいるそうだ。
それがよく見える弥山山頂の杉があったけれど、それも枯れてしまっている。