部長と私の秘め事
「わーお、メニューが英語だ。ヘイ、ミコ。翻訳して!」
尊さんに全振りすると、彼はガクッと項垂れた。
「俺はSiriか……」
それを見て悪ノリした恵が、涼さんに言う。
「リョウクサ、翻訳して」
「分かりました、恵さん。……って、ちょっと待って? もう少しネーミング考えない? リョウクサって、ちょっと俺が臭いみたいだよ?」
「語呂悪いですもんね」
「ミコクサ……」
私が隣を見ると、彼は再び項垂れて言った。
「部屋に戻ったら朱里のSiriに質問してやるからな」
「うわっ、発言がおっさん臭っ、さすがミコクサ!」
尊さんのセクハラを聞き、恵がドン引きしている。
彼はとうとう、「敵わん……」とテーブルに突っ伏してしまった。
「尊~。おニャンコ様たちに逆らっちゃ駄目よ~。俺たちおっさんが、若い女の子に敵う訳がないんだから」
「だな……」
すっかり言い負かしてしまった感じになったので、私は慌ててフォローする。
「うそうそ、嘘ですって。やり過ぎました。ごめんなさい。ホテルに戻ったら、私のお尻貸してあげます。太鼓の達人していいですよ」
「ぶふぉっ!」
それを聞き、三人が噴き出す。
その時、「すみません!」と日本人スタッフが来て、メニューを差し替えた。
「こちら日本語メニューになっております。どうぞご覧ください」
スタッフが去って行ったあと、私たちは顔を見合わせ、ブハッと噴き出した。
「わー、ホントにカンガルーとワニあるんですね」
「私、肉もいいけど海鮮もいきたいです」
「おっ、いいね~、恵ちゃん。じゃあ、シーフード盛り合わせはマストだね。あとサラダも頼もうね。朱里ちゃん、海鮮たっぷりのシーフードチャウダーもあるけど、どう? ムール貝入ってるよ。パスタもどう?」
「いただきます!」
「涼さん、朱里は勧められた分だけ食べちゃいますよ」
「だって後悔したくないもんねー?」
「イェーイ!」
周囲からは現地の人たちの陽気なお喋りや、ハッピーバースデーの歌も聞こえてきて、一杯引っかける前からご機嫌になってしまった。
「オーストラリアンビール、飲む?」
「飲みまーす!」
陽気に答えた私のテンションを見て、恵は「諦めるか」と頷いて「私もビール」と挙手した。
そのあと、どうやらお店のオススメはお肉、もしくは海鮮とのセット盛り合わせだと聞いた。
基本的にお肉は鉄板に載せられて提供され、ビーフ単体だと「肉のエアーズロックや~!」と声が聞こえてきそうな、分厚いお肉が出てくる。
セットはオージービーフとバラマンディーという白身魚は固定で、もう二品、海老とロブスターの海鮮コースか、カンガルーとワニのオーストラリア食材コースかを選べる。
「シーフード盛り合わせは頼んだから、朱里はこっちを食えば満足できるんじゃないか?」
尊さんがオーストラリア食材コースを指さし、私は「そうします!」とビシッとサムズアップする。
周りのテーブルを見ると、とても魅力的な料理や、美味しそうな飲み物、フルーツを使ったカクテルなどが並んでいるけれど、残念な事にメニューは文字だけなのだ。
このお店はとても有名らしく、日本の旅行会社越しに予約をとる事も可能だそうだ。
それぐらいの人気店なので、勿論、尊さんと涼さんも以前に来た時、このお店に来た事があるらしい。
「本当に仲良しなんですね。お値段も結構しっかりしてるじゃないですか。さっきは男性同士の旅はもっとカジュアルみたいな事を言ってましたが、やっぱりグルメセンサーが立ったんですか?」
尊さんに尋ねると、彼は遠い目で言う。
「カンガルーとワニがあるからに決まってるだろ……。どうせ食べるなら美味い店で、っていう事だよ」
「「ああ……」」
私と恵は納得し、涼さんを見て頷く。
「ちょっと待って? 『ああ、そっか。ゲテモノ男か』みたいな納得の仕方、やめて?」
「それ以外の何なんですか?」
「恵ちゃん! 無垢な目で、心の底から不思議そうに言うのやめて! こう見えて、俺は美食家と書いてグルメ……」
「本当のグルメってゲテモノもいきますよね。分かってますから、誤魔化さなくていいです」
「ああああああ……」
恵は両手で頭を抱えて落ち込む涼さんの背中をポンポンと叩いて「どんまい」と言い、「私は何にしようかな~」と再びメニューを覗き込む。
尊さんに全振りすると、彼はガクッと項垂れた。
「俺はSiriか……」
それを見て悪ノリした恵が、涼さんに言う。
「リョウクサ、翻訳して」
「分かりました、恵さん。……って、ちょっと待って? もう少しネーミング考えない? リョウクサって、ちょっと俺が臭いみたいだよ?」
「語呂悪いですもんね」
「ミコクサ……」
私が隣を見ると、彼は再び項垂れて言った。
「部屋に戻ったら朱里のSiriに質問してやるからな」
「うわっ、発言がおっさん臭っ、さすがミコクサ!」
尊さんのセクハラを聞き、恵がドン引きしている。
彼はとうとう、「敵わん……」とテーブルに突っ伏してしまった。
「尊~。おニャンコ様たちに逆らっちゃ駄目よ~。俺たちおっさんが、若い女の子に敵う訳がないんだから」
「だな……」
すっかり言い負かしてしまった感じになったので、私は慌ててフォローする。
「うそうそ、嘘ですって。やり過ぎました。ごめんなさい。ホテルに戻ったら、私のお尻貸してあげます。太鼓の達人していいですよ」
「ぶふぉっ!」
それを聞き、三人が噴き出す。
その時、「すみません!」と日本人スタッフが来て、メニューを差し替えた。
「こちら日本語メニューになっております。どうぞご覧ください」
スタッフが去って行ったあと、私たちは顔を見合わせ、ブハッと噴き出した。
「わー、ホントにカンガルーとワニあるんですね」
「私、肉もいいけど海鮮もいきたいです」
「おっ、いいね~、恵ちゃん。じゃあ、シーフード盛り合わせはマストだね。あとサラダも頼もうね。朱里ちゃん、海鮮たっぷりのシーフードチャウダーもあるけど、どう? ムール貝入ってるよ。パスタもどう?」
「いただきます!」
「涼さん、朱里は勧められた分だけ食べちゃいますよ」
「だって後悔したくないもんねー?」
「イェーイ!」
周囲からは現地の人たちの陽気なお喋りや、ハッピーバースデーの歌も聞こえてきて、一杯引っかける前からご機嫌になってしまった。
「オーストラリアンビール、飲む?」
「飲みまーす!」
陽気に答えた私のテンションを見て、恵は「諦めるか」と頷いて「私もビール」と挙手した。
そのあと、どうやらお店のオススメはお肉、もしくは海鮮とのセット盛り合わせだと聞いた。
基本的にお肉は鉄板に載せられて提供され、ビーフ単体だと「肉のエアーズロックや~!」と声が聞こえてきそうな、分厚いお肉が出てくる。
セットはオージービーフとバラマンディーという白身魚は固定で、もう二品、海老とロブスターの海鮮コースか、カンガルーとワニのオーストラリア食材コースかを選べる。
「シーフード盛り合わせは頼んだから、朱里はこっちを食えば満足できるんじゃないか?」
尊さんがオーストラリア食材コースを指さし、私は「そうします!」とビシッとサムズアップする。
周りのテーブルを見ると、とても魅力的な料理や、美味しそうな飲み物、フルーツを使ったカクテルなどが並んでいるけれど、残念な事にメニューは文字だけなのだ。
このお店はとても有名らしく、日本の旅行会社越しに予約をとる事も可能だそうだ。
それぐらいの人気店なので、勿論、尊さんと涼さんも以前に来た時、このお店に来た事があるらしい。
「本当に仲良しなんですね。お値段も結構しっかりしてるじゃないですか。さっきは男性同士の旅はもっとカジュアルみたいな事を言ってましたが、やっぱりグルメセンサーが立ったんですか?」
尊さんに尋ねると、彼は遠い目で言う。
「カンガルーとワニがあるからに決まってるだろ……。どうせ食べるなら美味い店で、っていう事だよ」
「「ああ……」」
私と恵は納得し、涼さんを見て頷く。
「ちょっと待って? 『ああ、そっか。ゲテモノ男か』みたいな納得の仕方、やめて?」
「それ以外の何なんですか?」
「恵ちゃん! 無垢な目で、心の底から不思議そうに言うのやめて! こう見えて、俺は美食家と書いてグルメ……」
「本当のグルメってゲテモノもいきますよね。分かってますから、誤魔化さなくていいです」
「ああああああ……」
恵は両手で頭を抱えて落ち込む涼さんの背中をポンポンと叩いて「どんまい」と言い、「私は何にしようかな~」と再びメニューを覗き込む。