部長と私の秘め事
 シーフード盛り合わせは、基本的に貝とかが二人分らしいので、二人前頼んだ。

 ムール貝に海老、よく分からない春巻きみたいなのや、イカリング、帆立のハーブ焼きを、レモンをギュッと搾って食べる。

 ワインを飲みながら牡蠣をチュルッと食べ、鉄板の上でジュージュー音を立てているお肉を見て、頬が緩む。

「朱里、顔」

 恵に指摘され、キリッとした表情をするも、すぐにニチャア……と笑みが漏れる。

 鉄板の横には数種類のソースがあり、何米か分からないけどお米も頼めた。

 やっぱりお肉を食べる時は、白米がなきゃ。

 オージービーフは柔らかでジューシー! カンガルー肉は脂身がなくてあっさりしていて、本当にヘルシーだ。

 ワニ肉は涼さんが「鶏肉みたい」と言っていたように、まさに鶏肉。でも若干、淡泊な感じがある。

 デザートにアイスをペロリと食べ、「はぁ~! 美味しかった!」とお腹をさすった。

「ごちそうさまでした! はぁ~、食後の運動に沢山歩かないと」

 精算を終えて外に出ると、風が気持ちいい。

 恵はしげしげと私のお腹を見てから、自分のお腹をポンポンと叩く。

「干潟に鳥がいっぱいいるから、見に行こうよ」

 涼さんに誘われ、私たちは干潟に向かって歩き始めた。





「わー、引くほどいる。あれってペリカン?」

 恵はいつも持ち歩いている単眼鏡を目に当てて、じっくりと鳥を見ている。

「フラミンゴもいるね~。あの嘴の長いのはシギ」

 ケアンズは海に囲まれているけれど、ビーチで海遊びできるようにはなっていない。

 その代わりに、無料のプールがある。

 夕方になる前に、私たちはケアンズ水族館に向かった。

 グレート・バリアリーフにいる魚や、熱帯雨林の魚をテーマにしたところで、水中トンネルもあってとにかく楽しい。

 マンタもいるし、触れ合いコーナーではヒトデやナマコがいるのはお約束だ。

 サメやウミガメもいるし、併設されたカフェでは、大きな水槽を横に食事もできる。

 どうやらナイトツアーというのもあるらしく、閉館後に入れるんだそうだ。

 そのあと私たちは、水族館から徒歩五分ぐらいにあるナイトマーケットに向かった。





 ナイトマーケットは商店街みたいなアーケードになっていて、入り口の天井にでかでかと英語のネオンが光っている。

「マンゴースムージーで有名な店があるんだ。まずそこで喉の渇きを癒そうか」

「はいっ、涼さんっ!」

 私がいい返事をすると、恵が「夏の心霊番組じゃないんだから……」と突っ込みを入れる。

 お店はアボット・ストリートから入ってすぐにあり、ノーマルなマンゴースムージーから、ソフトクリームがのった物など色々ある。

 どれも一品につきマンゴーをまるまる一個使っていて、贅沢なぐらい甘くてフルーティー!

 日本人も結構いるようで、歩いているとあちこちから日本語が聞こえてくる。

 洋服を売っているお店では、いかにも南の島! という柄物のワンピースをマネキンが着ていたりして、異国情緒がある。

「あ、俺、コーヒー買おうかな」

 そう言って、尊さんは近くにあったお店でフレーバーコーヒーを買っていた。

 私の大好きな、チョコやナッツのフレーバーなので、今から飲める時が楽しみになってしまう。

「キュランダ鉄道に乗る時、キュランダ村でもコーヒー豆が売ってるから、そこでも買っとく。朱里はプロポリスキャンディとか、お土産にどうだ? このMGO550+っていうのが、マヌカハニーの抗菌成分なんだ」

「へぇー!」

「800ぐらいになると、ピロリ菌にも抗菌作用が効くとか」

「すごーい! お母さんに買ってこ!」

 私がキャンディを手にとると、恵が「我も」と同じ物を手にする。

「でもね、本当はマヌカハニーが採れるマヌカの木は、世界中でニュージーランドにしかないんだ」

 涼さんに言われ、私と恵は「へー!」と感心する。

「そうなんですね。でもこっちも体に良さそうだからいいや!」

「『海泳いでニュージーランドに行く』って言うかと思った」

 恵にからかわれ、私は下唇を出して抗議する。

「いくら食いしん坊でも、キャンディのためにそこまでしませんよ~」

「私が病気で倒れて、ニュージーランドのマヌカハニーでしか治らないって言ったら?」

「行く!」

 私たちは冗談を言って盛り上がり、「あははは!」と笑う。

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