部長と私の秘め事
「右のほうが速かったよね? 俺、こういう反射テストみたいなの、得意なんだ」

「ぐぬぅ……」

「はいっ、きーまり!」

 涼さんは勢いよく立ちあがると、私をヒョイッと抱き上げた。

「わっ、わっ……」

 バランスを失った私はとっさに涼さんにしがみつき、彼によってベッドルームに運ばれる。

 チャイナマン川に面したベッドルームでは、窓の向こうに建物がないのをいい事に、彼はカーテンを閉めていない。

 キングサイズベッドにそっと下ろされた私は、黒い鏡のようなガラスに映った自分を見て羞恥に表情を歪める。

 ベッドの上に乗った涼さんはTシャツを脱ぎ、鍛え上げられた体を露わにする。

 体まで格好いいの、本当に反則だな……。

 私も対抗するように「おらぁっ!」と脱げたらいいんだけど、この貧相な体を自ら晒す勇気はない。

「可愛いね、恵ちゃん」

 涼さんはまたチュッチュッと私にキスをしながら、Tシャツの裾に手を入れてくる。

 あとは寝るだけなので、ノーブラだ。

 ほどなくして乳房をフニフニと揉まれ、私は胸を高鳴らせて膝を擦り合わせようとする。

 けれどその時には涼さんが脚の間に胴を挟んでいて、叶わない。

「ん……っ」

 まだ柔らかい乳首を指の腹でスリスリと撫でられ、私はピクッと体を震わせる。

「ちっちゃい口。可愛い」

 彼はうっとりとした表情で笑い、さらにキスを続け、上下の唇をついばんできた。

「綺麗な体、見せて」

 涼さんはそう言うと私のTシャツを脱がせ、下着ごとハーフパンツも下ろした。

「う……っ」

 あっという間に全裸にされた私は、両手で胸元を覆って、可能な限り首を横に向ける。

「首、挫いちゃうよ」

 涼さんはクスクス笑い、私の首筋にキスをしてくる。

 そして両手でツゥッと脇腹をなぞり、鎖骨、胸元へとキスをする場所を移していく。

 愛おしむような手つきにうっとりとした私は、そのまま涼さんに愛撫されて啼かされ、最後まで受け入れてしまったのだった。





(あー……、やっちゃった……)

 俺――、三日月涼は、ぐったりとした恵ちゃんの体の重みを感じながら、スッキリとした顔で反省する。

(気持ち良かったー……)

 ごめんね、恵ちゃん。

「……痛かったかな?」

 今になって心配になり、俺は彼女の体を持ち上げて屹立を抜くと、電気をつけて気絶した彼女の秘部を確認する。

(血は出てないみたいだ。良かった)

 ホッと安心したあと、俺は避妊具を処理してそのままシャワールームへ行くと、サッと体を流し、下着を穿く。

 そしてホットタオルで恵ちゃんの体を拭いていった。

(どこもかしこも柔らかくて、細いのにちゃんとつく所にはお肉がついてて、綺麗な体だな)

 恵ちゃんは朱里ちゃんと比べてスリムな印象だから、自分の体にあまり自信を持てていないようだけれど、ちゃんと胸はあるし、引き締まった脚にプリッとしたお尻も魅力的で、どうして劣等感を抱くのか分からない。

(あぁ……、食べちゃいたいぐらい可愛い)

 そんな事を思った俺は、拭いたばかりのお尻にカプッと噛み付く。

(うん、この弾力。つやもち)

 確認してからまたお尻を拭き、彼女に下着とハーフパンツを穿かせ、Tシャツは……、少し難しそうなのでそのままにしておく。

 もう一度二人でベッドに入り、照明を落とすと、窓の外にはゆったりとした川と、その向こうにある森の黒いシルエットが見えた。

(今夜で終わりか。長いようで短かったな。また一緒にどこか行こうね。恵ちゃんとならどこに行っても絶対楽しい)

 でも彼女としては俺と二人の旅行はまだ負担が大きそうなので、逃げ場として朱里ちゃんもいたほうが良さそうだ。

 俺にとっても幸いなのは、恵ちゃんの親友が朱里ちゃんという事だ。

 彼女の恋人――、尊はずっと付き合いのある相手だし、一緒に旅行に行っても全然負担にならないし、むしろ楽しみが倍増する。

 だから、つくづくいい縁だなと思っている。

(また次の計画を考えよう。……こう思えるの、幸せだな)

 俺は恵ちゃんの手を握り、一つ息を吐いてから目を閉じた。



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