部長と私の秘め事
「気持ちが追い付いて、自然にお洒落を楽しむようになるまでは、時間がかかるかもしれない。でも買った物は逃げないから、気に入るバッグを買ってもらって、〝その気〟になった時に使ってみない? 私もおそろを使うなら、外を歩くときも恐くないでしょ? 赤信号、みんなで渡れば恐くない、的な」
「ははっ、ブランドバッグを赤信号と一緒にしたら駄目だわ。しかも赤信号渡っちゃ駄目だって」
「たはー! 涼さーん、恵に座布団一枚あげて~!」
そう言った時、「はいはーい」と彼の返事があった。
丁度良く、二人がトレーに朝食を盛ってテーブルに戻ってきたところだ。
「恵ちゃんに座布団? ふっかふかの用意するよ! 何色がいい?」
「いや、いいっす」
二人のやり取りを見ていると、全力で頬ずりされる恵猫が物凄く嫌な顔をしている様子が思い浮かぶ。
ついでに、猫吸いをキメようとしたら、両手を突っ張らせて目に手を食い込ませるまでがセットだ。
「あー、やっぱり男子たち、女子力が高いですね……」
私は尊さんと涼さんのプレートを見て、広島に行った時の事を思い出す。
彼らは野菜も含めて色んな料理を彩りよくとっていて、まるでカフェのお洒落プレートだ。
恵もサラダ多めで、ちゃんと自分の事を考えている。
私は……、と、欲望まみれのプレートを見て落ち込んでしまう。
「だから気にすんなって」
尊さんにポンポンと肩を叩かれ、私は「あとでサラダ食べるもん……」とフォークを握る。
そのあと、作りたてのオムレツやベーコン、ソーセージなど、ビュッフェでお馴染みのラインナップを食べていく。
パンも色んな種類があったけれど、全員に共通しているのは甘い系のパンは選ばなかった事だ。
私は興味本位でシリアルも選び、牛乳を注いで子供の頃の事を思い出しつつ、懐かしい気持ちになってスプーンを動かした。
デザートはスイーツよりも、南国ならではのフルーツをここぞとばかりに食べておいた。
十時になってホテルの近くにあるお店へ行き、私たちはスタッフさんに予算を伝え、バッグをメインで買い、四人でお揃いの記念になる小物、男性陣にも何か小物が欲しいと伝えた。
尊さんたちは、もし予算(カジノで儲けたお金)よりオーバーしてもOKと伝えていた。
私と恵は寄り添って、ピッカピカのバッグが陳列されてある棚を見る。
「恐い。社会人の一か月分の給料より高いバッグ」
「恵、生々しい事言うのやめなよ……」
「そこ、ヒソヒソしない」
涼さんはビシッと突っ込みを入れたあと、店員さんとフレンドリーに話しつつ、恵に似合いそうなバッグを見繕ってもらう。
私と恵は、色んなバッグを見せてもらいつつ、ヒソヒソと相談する。
「あんまりちっちゃくても、物が入らないよね。長財布ってでかいし」
「んだ。私、いざという時の救急セットとかも持ち歩いてるから、こんなお洒落でちっちゃいバッグは無理だわ……」
「女子ぃ~、ヒソヒソしないで堂々と意見言ってぇ~」
涼さんはオネエのように言い、私たちの意見を店員さんに伝える。
「えっと、防犯の意味も込めて、上がちゃんとファスナーとかで閉じる奴がいいです」
「んだ。あと、汚れが目立たない奴で、手で持つ奴は置き忘れちゃう可能性があるので、肩掛けできる奴」
涼さんはそれを聞き、英語でペラペラと翻訳していく。
あまり派手すぎる柄や色もちょっと……という事で、最終的に決定したのは、私も恵も同じモノグラムのバッグだ。
(やっと決まった……)
ホッとしていると、涼さんが猫なで声で尋ねてきた。
「ね~ぇ? 恵ちゃんにこのキャップ似合いそう!」
そう言って彼は、本体は黒で、つばの部分がちょっとレオパードっぽくなっているキャップをスポッと彼女に被せた。
「なんなら俺もおそろで似合いそう!」
涼さんは恵と二人で大きな鏡の前に立ち、ニコニコしている。
「じゃあ、朱里はこっちどうだ?」
尊さんはつばの部分にモノグラム柄、本来にも黒地に地模様のモノグラムがあるキャップを被せてきた。
「……か、可愛いですけど……」
「俺はシンプルに黒キャップでいいかな」
「すみませーん! 俺、こっちのハットも買っとくね!」
涼さんはデニム柄のモノグラムハットも手にし、「白と黒もいいね」と呟いている。
私と恵は無言で目を合わせ、「始まったぞ……」と諦めの表情をしていた。
そのあと暴走した彼らは、オーストラリアは今冬なので、マフラーや手袋、サングラス、私たちにカチューシャ、シュシュ、ヘアクリップにヘアゴムも選び始める。
「ははっ、ブランドバッグを赤信号と一緒にしたら駄目だわ。しかも赤信号渡っちゃ駄目だって」
「たはー! 涼さーん、恵に座布団一枚あげて~!」
そう言った時、「はいはーい」と彼の返事があった。
丁度良く、二人がトレーに朝食を盛ってテーブルに戻ってきたところだ。
「恵ちゃんに座布団? ふっかふかの用意するよ! 何色がいい?」
「いや、いいっす」
二人のやり取りを見ていると、全力で頬ずりされる恵猫が物凄く嫌な顔をしている様子が思い浮かぶ。
ついでに、猫吸いをキメようとしたら、両手を突っ張らせて目に手を食い込ませるまでがセットだ。
「あー、やっぱり男子たち、女子力が高いですね……」
私は尊さんと涼さんのプレートを見て、広島に行った時の事を思い出す。
彼らは野菜も含めて色んな料理を彩りよくとっていて、まるでカフェのお洒落プレートだ。
恵もサラダ多めで、ちゃんと自分の事を考えている。
私は……、と、欲望まみれのプレートを見て落ち込んでしまう。
「だから気にすんなって」
尊さんにポンポンと肩を叩かれ、私は「あとでサラダ食べるもん……」とフォークを握る。
そのあと、作りたてのオムレツやベーコン、ソーセージなど、ビュッフェでお馴染みのラインナップを食べていく。
パンも色んな種類があったけれど、全員に共通しているのは甘い系のパンは選ばなかった事だ。
私は興味本位でシリアルも選び、牛乳を注いで子供の頃の事を思い出しつつ、懐かしい気持ちになってスプーンを動かした。
デザートはスイーツよりも、南国ならではのフルーツをここぞとばかりに食べておいた。
十時になってホテルの近くにあるお店へ行き、私たちはスタッフさんに予算を伝え、バッグをメインで買い、四人でお揃いの記念になる小物、男性陣にも何か小物が欲しいと伝えた。
尊さんたちは、もし予算(カジノで儲けたお金)よりオーバーしてもOKと伝えていた。
私と恵は寄り添って、ピッカピカのバッグが陳列されてある棚を見る。
「恐い。社会人の一か月分の給料より高いバッグ」
「恵、生々しい事言うのやめなよ……」
「そこ、ヒソヒソしない」
涼さんはビシッと突っ込みを入れたあと、店員さんとフレンドリーに話しつつ、恵に似合いそうなバッグを見繕ってもらう。
私と恵は、色んなバッグを見せてもらいつつ、ヒソヒソと相談する。
「あんまりちっちゃくても、物が入らないよね。長財布ってでかいし」
「んだ。私、いざという時の救急セットとかも持ち歩いてるから、こんなお洒落でちっちゃいバッグは無理だわ……」
「女子ぃ~、ヒソヒソしないで堂々と意見言ってぇ~」
涼さんはオネエのように言い、私たちの意見を店員さんに伝える。
「えっと、防犯の意味も込めて、上がちゃんとファスナーとかで閉じる奴がいいです」
「んだ。あと、汚れが目立たない奴で、手で持つ奴は置き忘れちゃう可能性があるので、肩掛けできる奴」
涼さんはそれを聞き、英語でペラペラと翻訳していく。
あまり派手すぎる柄や色もちょっと……という事で、最終的に決定したのは、私も恵も同じモノグラムのバッグだ。
(やっと決まった……)
ホッとしていると、涼さんが猫なで声で尋ねてきた。
「ね~ぇ? 恵ちゃんにこのキャップ似合いそう!」
そう言って彼は、本体は黒で、つばの部分がちょっとレオパードっぽくなっているキャップをスポッと彼女に被せた。
「なんなら俺もおそろで似合いそう!」
涼さんは恵と二人で大きな鏡の前に立ち、ニコニコしている。
「じゃあ、朱里はこっちどうだ?」
尊さんはつばの部分にモノグラム柄、本来にも黒地に地模様のモノグラムがあるキャップを被せてきた。
「……か、可愛いですけど……」
「俺はシンプルに黒キャップでいいかな」
「すみませーん! 俺、こっちのハットも買っとくね!」
涼さんはデニム柄のモノグラムハットも手にし、「白と黒もいいね」と呟いている。
私と恵は無言で目を合わせ、「始まったぞ……」と諦めの表情をしていた。
そのあと暴走した彼らは、オーストラリアは今冬なので、マフラーや手袋、サングラス、私たちにカチューシャ、シュシュ、ヘアクリップにヘアゴムも選び始める。