部長と私の秘め事
滝そのものの高さで言うと、途中で岩があるタイプなどがあるので十二位らしいけど、こういう一直線に流れるタイプでは日本一だ。
滝からは凄まじい水量が流れ落ちると同時に、結構な風が吹いてくる。
那智参詣曼荼羅は室町時代末期から近世にかけて描かれたもので、作例として三十六点ぐらいあるみたいだ。
いわゆる、昔の霊場のお参りの様子を絵にした物だけれど、参詣曼荼羅そのものが百五十点ほどある仲で、那智参詣曼荼羅は一番多いと言われている。
その右上に那智の滝があり、滝壺に文覚上人と不動明王の使いである、矜羯羅童子と制多迦童子の姿が描かれている。
文覚上人が十二月に滝壺に首まで浸かり、二十一日間、三十万回のお経を唱えるというヤンチャをして二回死にかけ、それを不動明王に助けられたという逸話が描かれたシーンだ。
霊験あらたかな滝を参拝したあと、私たちはお守りなどを買い、お店を覗きながら駐車場に向かった。
やっぱり気になるのは那智黒の飴で、明治十年創業のお店が作っているそうだ。
喉にもいいという事で、みんなの分もお買い上げしていく。
そして那智黒石でできた動物の置物も、安い物だったら数百円で売っている。
この辺りは特許庁の認めた製法で置物を作っているらしく、私は八咫烏の置物を買った。
硯(すずり)なども売っていて、とてもツルツルしていて滑らかな墨を擦れそうだ。
他にも和歌山県北山村が産地の、じゃばらと呼ばれる柑橘類のお菓子も多く、〝にがうま〟なポテチやドリンクなども買い、尊さんはお高級な南高梅の梅干しを買っていた。
那智黒の飴を使った黒いソフトクリームも食べ、一旦車に乗ってから移動する。
この辺りは那智勝浦の生マグロが有名らしく、マグロ料理を食べる事にした。
勝浦漁港にぎわい市場に行くと、美味しそうなマグロが沢山売っている。
ヘトヘトになっていた百合さんも「あら、美味しそうね」と元気になり、それを見た私はニコニコだ。
中には五千円近くするトロのさくもあったけれど、我らが尊さんはこういう所で出し惜しみする人ではない。
町田さんに受け取りをお願いし、色んな海鮮を買って三田のマンションに送ってくれた。
帰ったあとの楽しみができた……。うれちい。
基本的に市場では、あちこちで注文したご飯をウッドデッキに運んで食べていいらしく、私たちはマグロ丼やマグロのお寿司、唐揚げなどを買って「うまーい!」と頬張る。
お腹が満たされたあとは、併設されている足湯に行き、漁港を眺めながら疲れた足を癒した。
そしてまた車に乗り、今度は伊勢神宮を参拝すべく長距離移動になったのだった。
**
私たちが今回旅行している紀伊半島には、和歌山県、奈良県、三重県がある。
中心部には紀伊山地があり、その中に先ほどの熊野の山々や北のほうには桜で有名な吉野山もある。
実質火山はないそうだけれど、温泉地が多い場所でもある。
私たちは大まかに、Uの字になった半島を左上からスタートして、グルッと先端の潮岬を通って、折り返しの途中で那智大社をお参りし、さらに右上付け根のほうにある志摩半島付近にいる。
志摩半島と言うと海のイメージが強いけれど、伊勢神宮は内陸部にある。
近くには伊勢志摩国立公園があり、少し北に行くと緑の多い地帯を抜けて平野部になり、伊勢市や少し離れた場所に牛肉様で有名な松阪市がある。
伊勢神宮は豊受大神宮と呼ばれる外宮、皇大神宮と呼ばれる内宮からなっていて、二つ合わせて〝お伊勢さん〟として親しまれている。
けれど伊勢神宮の正式名称は、シンプルに〝神宮〟らしい。
でもややこしいので他の神宮や球場と混同しないために、伊勢の地名を冠して伊勢神宮という通称があるとか。
だから通の人は「伊勢の神宮」と言うらしい。
現在では神社本庁の頂点である本宗となり、総氏神という扱いを受けている。
外宮では衣食住の神様、豊受大御神を祀り、内宮では天照坐皇大御神を祀っている。
さらに〝神宮百二十五社〟と言われ、内宮と外宮の他にも十四の別宮、四十三の摂社、二十四の末社、四十二の所管社があり、これを全部含めて〝神宮〟と言うのだとか。
お参りをする時は外宮から内宮へという習わしがあり、それを\外宮先祭《げぐうせんさい》というそうだ。
私は地図アプリを見て声を上げる。
「あれー! 外宮と内宮って、結構離れてるんですね! てっきり同じ場所にあるんだと思いました」
「そうなんだよ。俺も最初に来た時、そう思った」
〝伊勢神宮〟とあたかも一つの神宮のように言っているので、同じ敷地内に外宮と内宮があると思い込んでいたけれど、外宮は伊勢市内にある伊市勢駅に近い。
滝からは凄まじい水量が流れ落ちると同時に、結構な風が吹いてくる。
那智参詣曼荼羅は室町時代末期から近世にかけて描かれたもので、作例として三十六点ぐらいあるみたいだ。
いわゆる、昔の霊場のお参りの様子を絵にした物だけれど、参詣曼荼羅そのものが百五十点ほどある仲で、那智参詣曼荼羅は一番多いと言われている。
その右上に那智の滝があり、滝壺に文覚上人と不動明王の使いである、矜羯羅童子と制多迦童子の姿が描かれている。
文覚上人が十二月に滝壺に首まで浸かり、二十一日間、三十万回のお経を唱えるというヤンチャをして二回死にかけ、それを不動明王に助けられたという逸話が描かれたシーンだ。
霊験あらたかな滝を参拝したあと、私たちはお守りなどを買い、お店を覗きながら駐車場に向かった。
やっぱり気になるのは那智黒の飴で、明治十年創業のお店が作っているそうだ。
喉にもいいという事で、みんなの分もお買い上げしていく。
そして那智黒石でできた動物の置物も、安い物だったら数百円で売っている。
この辺りは特許庁の認めた製法で置物を作っているらしく、私は八咫烏の置物を買った。
硯(すずり)なども売っていて、とてもツルツルしていて滑らかな墨を擦れそうだ。
他にも和歌山県北山村が産地の、じゃばらと呼ばれる柑橘類のお菓子も多く、〝にがうま〟なポテチやドリンクなども買い、尊さんはお高級な南高梅の梅干しを買っていた。
那智黒の飴を使った黒いソフトクリームも食べ、一旦車に乗ってから移動する。
この辺りは那智勝浦の生マグロが有名らしく、マグロ料理を食べる事にした。
勝浦漁港にぎわい市場に行くと、美味しそうなマグロが沢山売っている。
ヘトヘトになっていた百合さんも「あら、美味しそうね」と元気になり、それを見た私はニコニコだ。
中には五千円近くするトロのさくもあったけれど、我らが尊さんはこういう所で出し惜しみする人ではない。
町田さんに受け取りをお願いし、色んな海鮮を買って三田のマンションに送ってくれた。
帰ったあとの楽しみができた……。うれちい。
基本的に市場では、あちこちで注文したご飯をウッドデッキに運んで食べていいらしく、私たちはマグロ丼やマグロのお寿司、唐揚げなどを買って「うまーい!」と頬張る。
お腹が満たされたあとは、併設されている足湯に行き、漁港を眺めながら疲れた足を癒した。
そしてまた車に乗り、今度は伊勢神宮を参拝すべく長距離移動になったのだった。
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私たちが今回旅行している紀伊半島には、和歌山県、奈良県、三重県がある。
中心部には紀伊山地があり、その中に先ほどの熊野の山々や北のほうには桜で有名な吉野山もある。
実質火山はないそうだけれど、温泉地が多い場所でもある。
私たちは大まかに、Uの字になった半島を左上からスタートして、グルッと先端の潮岬を通って、折り返しの途中で那智大社をお参りし、さらに右上付け根のほうにある志摩半島付近にいる。
志摩半島と言うと海のイメージが強いけれど、伊勢神宮は内陸部にある。
近くには伊勢志摩国立公園があり、少し北に行くと緑の多い地帯を抜けて平野部になり、伊勢市や少し離れた場所に牛肉様で有名な松阪市がある。
伊勢神宮は豊受大神宮と呼ばれる外宮、皇大神宮と呼ばれる内宮からなっていて、二つ合わせて〝お伊勢さん〟として親しまれている。
けれど伊勢神宮の正式名称は、シンプルに〝神宮〟らしい。
でもややこしいので他の神宮や球場と混同しないために、伊勢の地名を冠して伊勢神宮という通称があるとか。
だから通の人は「伊勢の神宮」と言うらしい。
現在では神社本庁の頂点である本宗となり、総氏神という扱いを受けている。
外宮では衣食住の神様、豊受大御神を祀り、内宮では天照坐皇大御神を祀っている。
さらに〝神宮百二十五社〟と言われ、内宮と外宮の他にも十四の別宮、四十三の摂社、二十四の末社、四十二の所管社があり、これを全部含めて〝神宮〟と言うのだとか。
お参りをする時は外宮から内宮へという習わしがあり、それを\外宮先祭《げぐうせんさい》というそうだ。
私は地図アプリを見て声を上げる。
「あれー! 外宮と内宮って、結構離れてるんですね! てっきり同じ場所にあるんだと思いました」
「そうなんだよ。俺も最初に来た時、そう思った」
〝伊勢神宮〟とあたかも一つの神宮のように言っているので、同じ敷地内に外宮と内宮があると思い込んでいたけれど、外宮は伊勢市内にある伊市勢駅に近い。