部長と私の秘め事

大阪観光

「私と母とでも、やっぱり改めて話さないと通じない事ってあります。だから、沢山言葉にして伝えていきましょう」

「……だな。伝えられるうちに、沢山伝えねぇと」

「です!」

 私はギューッと尊さんを抱き締め、頭を撫でる。

「頑張りましたね。ヨシヨシしてあげます。アカリンスタンプ五十個あげます」

「お? 五十個のインセンティブは?」

「うーん……。おっぱいタッチ権?」

「あっ、結構ハードルが高いやつだな」

 尊さんはクシャッと笑う。

「アカリンスタンプ千個で、好きな体位の希望を言えます」

「マジか……」

 彼は脱力したあと、クスクス笑って私を解放する。

「おっぱいタッチ権は、仕事で疲れた時用にでもとっておくよ」

「分かりました。いざという時のために、日頃の手入れを欠かさずに準備しておきますね」

 時計を見ると、もう二十三時になろうとしていた。

「そろそろ寝るか」

「そうですね。明るくなっての景色を楽しみながら、朝風呂も楽しみたいですし」

 私たちはそのあと、歯磨きをして寝る準備を整えてベッドに入る。

 さすが高級ホテルなだけあり、ベッドの弾力も程よく、快眠できそうだ。

「おやすみなさい」

「ん、おやすみ」

 リモコンで照明を落としたあと、私は目を閉じて溜め息をつく。

 濃密な一日を過ごし、沢山歩いて体も疲れているけれど、美味しい物を食べてゴージャスなホテルに泊まれて大満足だ。

(明日は大阪を食い尽くすぞ)

 心の中で気合いを入れた私は、そのあとスーッと意識を落として眠ってしまった。



**



 翌朝、朝風呂を楽しんだあと、顔を洗ってメイクをする。

 そして朝食会場へ向かった。

 昨晩同様個室レストランで食べられるけれど、朝だからか景色がよく見える部屋に案内してもらえた。

 朝食も豪華なコース仕立てで、最初はバケツで飲みたいと思うほど、あま~いスイートコーンの冷製ポタージュ。

 そしてモリモリと盛られたフレッシュなサラダ、そしてナイフを入れると黄身がトロトロと零れる芸術的なエッグベネディクト、パンは色んな種類が自由に選べて、つい欲張ってしまいそうになった。

 クロワッサンやバゲットは勿論、ショーソンポム(アップルパイ)やチョコレートデニッシュなどの甘い系もあり、コンプしたくなる。

 それにつけるバターやジャムもどれも上等で、パンだけでも幸せな気分になる。

 デザートはヨーグルトにジャムやフルーツが載った物で、口がスッキリした。

 ヨーグルトに掛ける蜂蜜はハニカム柄の特別な瓶に入っていて、視覚でも大満足だ。

 食後はコーヒー、紅茶、ハーブティー派に分かれて、ゆったりとした時間を過ごす。

 ジャムがあまりにも美味しかったので、小牧さんが「売っていますか?」と尋ねたらお土産として用意してくれるようで、全員拍手喝采だった。





 チェックアウトの時間は十一時だけれど、大阪までの道のりを考えると少しでも早いほうがいいと判断し、また車に荷物を詰め込んで出発した。

「大地さん、素敵なホテル体験、ありがとうございました」

 お礼を言うと、彼は爽やかに笑う。

「お気に召して良かった。全国あちこちにひらまる系列のホテルがあるから、また別の機会にみんなで行ってもいいかもね」

「はい!」





 それから車内でしりとりなどをして過ごし、速水家に限って音楽用語縛りがあり、よく分からない用語が沢山出て頭の中は「?」だったけれど、楽しい道中だった。

 休憩を挟みつつ、大阪のホテルに着いたのはそれから約三時間後だった。

 まだチェックインには早いけれど、荷物を預かってほしいとお願いすると快く受け入れてくれた。

 宿泊するお宿は『セント・レーヴ・マリエット』で、こちらも目が飛び出るほど高級な外資系ホテルだ。

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