部長と私の秘め事
「全国の大名が集まると、この立派な石たちが目に入るだろ。これだけの重たい物を持って来させられる権力があるって意味で、鏡石とも呼ばれてる。元は秀吉が建てた城だが、焼け落ちて徳川の治世に建て直された。しかも徳川幕府が自主的に作ったんじゃなくて、天下普請っていう土木担当の大名が、忠誠心を示すために主導して作らせたんだそうだ。結果的に、あっちの大名があんなに大きな石を持ってきたなら、うちもでかい石を出そうってなっていったらしい」
「へぇ~。当時はごますりするのも大変だったんですね。破産しそう」
たかが石、されど石で、重たい物を運んで来る労力は途方もないし、当時の事を考えると気が遠くなる。
蛸石は正面から見ると、横長の長方形の巨石で、高さは五メートル半ある。
左側にタコみたいな模様があるから、そう呼ばれているんだそうだ。
近づいて見てみると、要所に組み合わせた岩がズレないように、楔を打ち込んでいるのが分かる。
「わー、お堀を船で渡れるんですね」
途中で看板が立っていて、ボートで内堀を巡るツアーをしているのが分かる。
「またいつか、時間がある時にな」
「はい。その時は河童アカリと河童ケイで、シンクロやります」
「マジか」
尊さんは横を向いてクックック……と笑う。
いよいよお城が近づいて見え、特に城萌えでないはずなのに、やけに格好良く見える。
写真を撮ったあと中に入ると、合戦のジオラマや武将が来ていた甲冑などが展示されていて、見応えがある。
一番上の天守閣に上るとガラス張りになっていて、大阪の街が一望できた。
「凄いですね~」
私は動画を撮りつつ言い、尊さんも一枚写真を撮って色味を調整し、涼さんにポンと送っていたようだった。
「あいつ、今頃仕事中だろうから、嫌がらせ」
「ひひひ、性格わる~い」
「そのお詫びに、明日帰る時に豚まんとか買って、帰宅途中に寄りがてら渡そうかと思って。いいか?」
「はい! 私も恵にホヤホヤのお土産渡したいです。……って、やっぱり人気店だから並んだりしてますか?」
「あー、だろうと思って現地の人にお願いして……」
私は札幌に旅行した時の事を思いだし、「あー!」と声を上げる。
「平日ですけど大丈夫ですか?」
「フリーランスの人だから時間の融通は利く。商品代金と謝礼を渡す予定だ。正式なズル」
「あはは! 本当に正式なズルだ。皆さんの分は?」
「話してみたんだが、みんなそれぞれ現地に知り合いがいるみたいで、今夜とか明日の午前中とかに望みの品を手に入れるみたいだ。俺も声を掛けられて、欲しい物はないか聞かれたよ」
「皆さん、抜かりなしですね」
「演奏会とかで頻繁に全国行ってるから、そのたびにお気に入りを買ってるそうだぜ」
「あぁ~! そっちのツテもあるんですね」
納得した私は、うんうんと頷いた。
そのあと大阪城を出て、天満橋駅近くにある、お好み焼き屋さん『ポンポコ屋』に入った。
「わぁ~! 美味しそう~!」
「メニュー見ただけで涎垂らすなよ」
気持ちが先走ったあまり、尊さんに注意されてしまう。
「朱里さん、好きな物頼んでね! この旅行で朱里さんがわんぱくストマックな女の子なのは十分に分かったから、本当に遠慮しないで食べて!」
「はいっ」
小牧さんに言われ、私は感謝を込めてコクッと頷く。
「今までもいいお肉や海鮮は食べたけど、やっぱり鉄板焼きって言ったら気分が変わってくるわよねぇ」
ちえりさんは「これもいいわね」と言い、サーロインステーキや大海老、イカなどのセットを指さす。
「私はお肉なら、フィレのほうが脂身が少なくていいわ」
百合さんが言い、「そうだね」と将馬さんも同意する。
気を遣ってくださっているのか分からないけれど、皆さんが頼むなら……という感じで私もお肉ちゃんを頼ませてもらう事にした。
A5ランク黒毛和牛の塩焼きに、タン塩、加えて大海老の塩焼き、貝柱、とん平焼き、シーフードチーズオムレツ、お好み焼きはシンプルに豚玉にトッピングにチーズとお餅にして、焼きうどんも注文する事にした。
オーダーしたあと、私はカーッと赤面して俯く。
けれど皆さん特に「よく食うなこいつ」という反応は見せず、普通に会話を続けていた。
「あんま気にするなよ?」
向かいに座っている尊さんは、お水を飲んで言ってくる。
「へぇ~。当時はごますりするのも大変だったんですね。破産しそう」
たかが石、されど石で、重たい物を運んで来る労力は途方もないし、当時の事を考えると気が遠くなる。
蛸石は正面から見ると、横長の長方形の巨石で、高さは五メートル半ある。
左側にタコみたいな模様があるから、そう呼ばれているんだそうだ。
近づいて見てみると、要所に組み合わせた岩がズレないように、楔を打ち込んでいるのが分かる。
「わー、お堀を船で渡れるんですね」
途中で看板が立っていて、ボートで内堀を巡るツアーをしているのが分かる。
「またいつか、時間がある時にな」
「はい。その時は河童アカリと河童ケイで、シンクロやります」
「マジか」
尊さんは横を向いてクックック……と笑う。
いよいよお城が近づいて見え、特に城萌えでないはずなのに、やけに格好良く見える。
写真を撮ったあと中に入ると、合戦のジオラマや武将が来ていた甲冑などが展示されていて、見応えがある。
一番上の天守閣に上るとガラス張りになっていて、大阪の街が一望できた。
「凄いですね~」
私は動画を撮りつつ言い、尊さんも一枚写真を撮って色味を調整し、涼さんにポンと送っていたようだった。
「あいつ、今頃仕事中だろうから、嫌がらせ」
「ひひひ、性格わる~い」
「そのお詫びに、明日帰る時に豚まんとか買って、帰宅途中に寄りがてら渡そうかと思って。いいか?」
「はい! 私も恵にホヤホヤのお土産渡したいです。……って、やっぱり人気店だから並んだりしてますか?」
「あー、だろうと思って現地の人にお願いして……」
私は札幌に旅行した時の事を思いだし、「あー!」と声を上げる。
「平日ですけど大丈夫ですか?」
「フリーランスの人だから時間の融通は利く。商品代金と謝礼を渡す予定だ。正式なズル」
「あはは! 本当に正式なズルだ。皆さんの分は?」
「話してみたんだが、みんなそれぞれ現地に知り合いがいるみたいで、今夜とか明日の午前中とかに望みの品を手に入れるみたいだ。俺も声を掛けられて、欲しい物はないか聞かれたよ」
「皆さん、抜かりなしですね」
「演奏会とかで頻繁に全国行ってるから、そのたびにお気に入りを買ってるそうだぜ」
「あぁ~! そっちのツテもあるんですね」
納得した私は、うんうんと頷いた。
そのあと大阪城を出て、天満橋駅近くにある、お好み焼き屋さん『ポンポコ屋』に入った。
「わぁ~! 美味しそう~!」
「メニュー見ただけで涎垂らすなよ」
気持ちが先走ったあまり、尊さんに注意されてしまう。
「朱里さん、好きな物頼んでね! この旅行で朱里さんがわんぱくストマックな女の子なのは十分に分かったから、本当に遠慮しないで食べて!」
「はいっ」
小牧さんに言われ、私は感謝を込めてコクッと頷く。
「今までもいいお肉や海鮮は食べたけど、やっぱり鉄板焼きって言ったら気分が変わってくるわよねぇ」
ちえりさんは「これもいいわね」と言い、サーロインステーキや大海老、イカなどのセットを指さす。
「私はお肉なら、フィレのほうが脂身が少なくていいわ」
百合さんが言い、「そうだね」と将馬さんも同意する。
気を遣ってくださっているのか分からないけれど、皆さんが頼むなら……という感じで私もお肉ちゃんを頼ませてもらう事にした。
A5ランク黒毛和牛の塩焼きに、タン塩、加えて大海老の塩焼き、貝柱、とん平焼き、シーフードチーズオムレツ、お好み焼きはシンプルに豚玉にトッピングにチーズとお餅にして、焼きうどんも注文する事にした。
オーダーしたあと、私はカーッと赤面して俯く。
けれど皆さん特に「よく食うなこいつ」という反応は見せず、普通に会話を続けていた。
「あんま気にするなよ?」
向かいに座っている尊さんは、お水を飲んで言ってくる。