部長と私の秘め事

大阪ホテルの夜

 食事を終えた私たちは、ネオンで光る道頓堀を後ろに記念撮影したあと、タクシーに乗ってホテルに戻った。



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 ホテルのロビー、レセプションは建物の十二階にあり、まず地上階から中に入るけれど、館内に入った瞬間フワッと甘い匂いがした。

「うわぁ……、いい香り」

 思わず口にすると、ちえりさんがクスッと笑う。

「どこの支店でも、この香りで統一しているの。ホテルオリジナルのフレグランスも展開していて、気に入ったお客さんはルームフレグランスを買っていくわね」

「そうなんですね。凄い!」

 私はポワーッといい気分になり、クンクンと匂いを嗅ぐ。

 ホテルの入り口には、青白いライトで照らされた、氷でできた木を思わせるオブジェがある。

 白銀の幹や枝振りは見事で、枝には銀色の葉がついていた。

 外資系だから洋のホテルと思いきや、次の空間に行く途中の頭上には、お寺や和室にある欄間(らんま)みたいな部分があり、照明が当たって金色に輝いている。

 マリエット系列のホテルでも、最高級のホテルだけれど、こうやって和を意識してくれていると、何だかホッとする。





 一階で案内のスタッフさんに導かれ、エレベーターで十二階まで行くと、ロビーに至る通路にガラスケースがあり、ジュエリーやバッグが展示されてあって「ふおお……!」と変な声が漏れてしまった。

 白を基調とした天井の高い空間には、沢山の観葉植物があって気持ちが落ち着く。

 天井からは二段のウエディングケーキを、逆さにしたようなデザインのシャンデリアが下がっていた。

 レセプションは巨大な金色の絵画を背景にした所にあり、「ホテルのカウンターです!」という雰囲気ではなく、ロビーにあるテーブルセットの一つに溶け込んだ印象だ。

 しかも不思議な事に、ビルの十二階だというのに、外にはお庭があった。

 ちょっと覗いてみると、立派な日本庭園で、枯山水がある。

 枯山水を楽しみながら、屋外用ソファに座ってお酒などを楽しめるコーナーもあった。

 ロビーのあちこちに、敷物とテーブルセットがあるのだけれど、入って正面は赤い敷物コーナーで、奥にある部分は青い敷物コーナーになっている。

 青コーナーには壁際に暖炉があったり、マントルピースの上に物が置かれ、素敵な絵画も沢山飾られていて、バーもある。

 チェックインのあとエレベーターに乗ってフロアに着くと、皆さんに「おやすみなさい」を言った。

 客室フロアの床は、ブラウンに金で植物柄が描かれた絨毯が敷かれ、全体的に薄暗く、要所にスポットライトのような間接照明があって、大人っぽく高級感がある。

 曲がり角にはアンティークな鏡があり、外出の際にササッと身なりを整えられるようになっていた。

「ドキドキの瞬間です」

 お部屋に入る前、私はスッハーと深呼吸する。

「ホテルのセレクトは大地だけど、自分たちの宿泊費は俺持ちだから、ちょっとグレードアップしたよ」

「あらら。マジですか」

 お部屋にはいって正面にはリビングルームがあり、夜景が見える大きな窓を背に、ワインレッドのソファと楕円形の黒いテーブルがある。

 横にはベージュの一人掛けソファがあり、ルームサービスを食べる用のテーブルなのか、奥に円形の黒いテーブルとソファセットがあった。

 壁際にある四角柱の台の上には、お高そうな黒い壷が置かれてあったけれど、落ちないようにきちんと接着されてあった。

 ソファの横にライトを置いた円形のテーブルがあり、下には朱色の重たい本が置かれている。めくってみると英字だったけれど、このホテルに関する本のようだ。

 加えてプラダに関するデザインの本も置かれてあった。

 ソファの向かいの収納は、天井近くと床近くに壷が置かれ、その間に取っ手がついていて上下に開くようになっている。開くと大きなテレビの登場だ。

 右手側の上には二段にわたって壷があり、手元の台には電話、雑誌やホテル内のアフタヌーンティーの紹介などがあった。

 続き部屋の手前には金ぴかの両開きチェストがあり、何かと思って開けてみたらミニバーだ。

 開いてみると下に冷蔵庫があり、上にはコーヒーメーカーやティーカップ、引き出しに収まったグラス類、コーヒーやお茶のティーバッグ、スナックに小さな瓶のお酒もある。

 奥はベッドルームで、キングサイズベッドが窓の方を向いて置かれてある。

 部屋の角にはテレビがあり、窓際には景色を楽しむためのソファセット、奥の壁には絵画があり、その下には電話が置かれた黒い執務用デスクと椅子がある。

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